第9話///敵のボスは男じゃない?
「うわぁ、イイとこ住んでんなぁ」
好奇の目に晒されながら村の最深部にドーンと建てられた建築物は木造平屋の大豪邸。この辺りの地方だと『シャレー』と呼ばれる建築様式だろう。まぁ異世界なので断言したらダメだけれど。
「親方ぁ! 親方ぁぁぁ! アタシです。アリスタです」
家の前でそう叫ぶと細身の美人が戸を開けた。
「おや、お前さん帰りが遅いんで援軍を送ったんだがね……
「それが……」
まぁ話しにくいだろうね。たった一人に倒されました。コイツですって世界だもの。なのでなるべく穏やかな声音で僕が言葉を発した。
「あー、すみません。あの人たちは、僕が倒しちゃいました」
「……なに?」
「いや、スコンスコンと手早く倒しましたが死人はいません。後続の一五〇人?ですっけ? その方々も殺さないように厳命してあります」
なるべく穏やかに話したつもりだが、相手の顔色がみるみる変わる。
「それで……お前は何をしにきた?」
僕の答えは決まっている。できたら楽に済ませたいからだ。
「穏便で平和的な交渉をしにきました。近隣の村と共存する方法と嫁探しの提案などです」
一拍、置いて美麗な女の
「面白いことを言う! ならば私を力でねじ伏せてみよ」
従者みたいな少年が、彼女のエモノをうやうやしく差し出す。細身の剣なのは見て取れるが、細かいことはわかりゃしない。僕は足元の石ころを一つ拾って不敵に笑って返事を返した。
「まぁ、そうなりますよね。イツでもどうぞ」
「いや、アンタそれはいくら何でも……」
ここまで案内してくれたアリスタさんが逆に慌てる。僕の強さを充分に知りながらも
「だぁいじょうぶ。アリスタさんは離れていてね」
僕の一連の行動に
「ばっばっば……馬鹿にしてぇぇぇぇ」
手にした抜き身の剣を閃かせ僕に迫ってくる。
目配せをすれば
「いらっしゃいませ~」
僕は知らずと呟いた……お楽しみはこれからだ(笑)。
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