第6話///自信はあるが策はない
物語の舞台を決めたときも一瞬見えたこの世界の風景。それが主人公を設定しプロットを適当に書き飛ばして主人公のキャラクターを立てるために用意する第一章の簡単なメモを書き終えた
(これは僕が書き付けた異世界小説のメモに他ならない)
この後は、三〇〇人からの大野盗集団を見事に撃退して強奪品を取り返し、この地方の人々から絶大な信頼を得るんだけど……。
(さて、そろそろ行動を開始しますか……)
元捕虜の傭兵集団に囲まれて偉そうにしていた兵士たちは即座に降伏して自ら武装解除を始めていた。僕は野盗連中に連れられていた金髪の美少女に歩み寄る。少女は道の隅にしゃがみ込んで頭を抱えていた。
「どうしよう絶対に仕返しがある。嫌がらせが増えるわ……」
「あの……お姉さん、誘拐されたんですよね?」
「アナタはさっき一人でアイツらをやっつけた……」
「あ、はい。そうです……ナガマサって言います」
現実世界じゃ運動経験の無い三〇過ぎのオジサンだけど、この世界にいる僕は武芸百般の
「えーっと……
「……あ、ありがとう」
彼女は、色々と目まぐるしく考えているに違いない。僕の強さは先ほど見たはずだ。両手を
五〇人の傭兵を一〇人の前衛と四〇人に分けて間に捕虜を挟む形で少女と僕を先頭に彼女の住む村への道のりを急いだ。軍馬が一頭いるが仲間内で扱いに
僕は少女を送り届けるついでに周囲の地形を確認していた。少しでも野盗との対決を有利に進めたいからだ。僕は死なないかもしれないけれど、異世界の傭兵たちは等しく命を武器に戦うのだから……。
「おいナガマサ、ちょっといいか?」
この寄せ集めの傭兵集団を
「なんですか? マルタさん」
かなりの
「お前さん、俺たちをその気にさせたんだから当然……策はあるんだよな?」
ここは作戦を披露するべきターンだけど僕の
「ちょっと待ってくださいね」
「……ちょっと?」
僕はニッコリ笑って短く答える。
「はい。いま準備してます」
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