第5話///流れはあるけど筋はない
「何てことをしてくれたんだ! お前はあいつらが……」
「知ってますよ? この辺りで略奪を繰り返す三〇〇人からなる
「お、お前どうしてそれを……いや、知っていて何故、刃向ったんだ!」
「あー誰か、この人たち縛るんで手伝ってください~ちょうど僕たちを繋いでいた腰ひもがありますし……」
そう呼びかけると一緒に連行されていた連中から数人が応じてくれた。
「お前ッ! 聞いているの……おぉっ?」
偉そうに怒鳴り散らすオッサンに近寄ると腰の鍵を無言で失敬する。
「な、何をするかッ!」
「大きな声を出さないでください。普通、かかる火の粉は払いませんかね?」
ごく静かに極めて穏やかに説明しながら仲間の一人の
「アナタ方が何もしてくれないから
「グヌヌヌヌ……というか勝手に何をしてる?」
もうこのオッサンたちの相手をしている暇はない。僕は、連行されてきた連中を集めて説明を始めた。
「縛り終わったらちょっと聞いて欲しいことがあるですがいいですか?」
「おう、なんだい? 兄ちゃん」
「僕は、ナガマサって言います。いま僕たちを襲ってきた連中は、ここら一帯の町や村で略奪を繰り返す大野盗集団の小隊なんですが……」
「なるほど……だから兵隊連中はビビってたってわけか」
「こんな田舎じゃ応援も呼べないしな」
布一枚の貧相な格好の大人たちが口々に話し出す。
「皆さんは多分、傭兵さんですよね?」
僕がそう問うと大人たちはお互いの顔を見合わせる。
「知らない顔も数名いるが、多分みなそうだと思うぜ?」
僕は、ある確信を持って彼らに一つの提案をした。
「どうでしょう? 僕らで奴らを
僕の提案に彼らは、当然のようにザワつく。この展開も僕には大体、わかっていた。でも最終的には賛成してくれるはずだ。
「逃げるって言うならまだしも戦うって」
「おいおい……俺たちは
一拍、間をあける。ほぼ賛同を得られるのは約束されている。ただし、的確に簡単な言葉を選んでセリフを
「理由は三つあります。第一に僕たちはプロの戦闘集団で敵は、力自慢のド素人です。二つ目は、戦場で捕まった僕たちは現状、失職状態じゃないですか。この野盗を退治することで多少のお金が入るでしょう」
段々と男たちの顔つきが真剣になってくる。
「一番大事な三つ目です、今なら僕たちを捕まえていた連中から自由になれます……どうでしょうか?」
そこまで説明すると男たちは無言で
野盗と一戦交えた辺りで僕にはこの展開が見えてしまった。だってこれ僕が
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