第8話 「ツツジ」

「そういえば美術の時間、似顔絵のデッサンでペアだった時あったよね?」


白くすらりとした両手を伸ばし、僕を内側へと引き入れる。

正直この場所に僕の良い思い出は無かった。

だから、ここに来た時には寄らないと来る前から決めていた。


堪らず廊下へ逃げ込もうとすると、白い花はイーゼルの前に座って話しを続ける。


「絵にしたい」そう思ってしまった。

足は止まっていた。


「君はまるでツツジだ」

「何それ?私のあだ名?」

「違う違う。なんでもないよ」


ツツジのカーテンが揺れる。


「そっか、でさ…その時のことなんだけど」



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