第12話

 話は少しさかのぼる。 


 自国から能力者が出たらしい、と世間で囁かれ始めた頃、私は大学が独自に行っていた研究に協力していた。

 僅かだが私には磁界作り手としての属性、親和・反発のコントロール力があり、そのデータから力の発生装置を開発するとのことで、だが開発は早々に暗礁に乗り上げ、代わりになぜか、その過程で私は力が増大した……。

 


 これを知った政府は当初、私を何かあった際の替え玉にと考えたそうだ。


 操者再考にも応じなかった以上、失敗は許されず、また今後の為にも2人で完璧にやり遂げるとこを他国に見せる必要があり、その保険というわけだ。

 しかし増大したとはいえ、私の磁界形成、維持は作り手の基準に満たず、そもそも背格好が成人と中学生では違い過ぎた。

 これで解放かと思ったが、数日経って再び中央に呼ばれると、磁界の作り手をサポートするよう言われた。

 操者が安定せず磁界維持に過大な負担が生じる等、磁界内でアクシデントが起きた場合、中に入り作り手を補助又は保護する。訓練はいるが、私にも十分務まるという話だった。


 意思確認は無く、翌日には訓練施設近くに越し、作り手の2人と訓練を受けていた。

 他国に知られぬよう私の活動は極秘だったが、更に2人にも伏せられたのは、彼らの、殊に作り手である彼の自尊心を大いに傷つけるからであった。


 情報だけならネット上に幾らでもあったが、初めて目の当たりにした彼の力は想像外だった。

 通常の作り手がスローモーションに感じる速さと大きさで磁界を作り上げ、操者の少女をフォローさえして見せた彼に、補助や保護という事態はどうにも想像しづらかった。


 知っていたのだろう、あの時『彼らのためにあることが君の役目』だと言った相手の目は笑っていた。



 ―――暫くして私は、自分が『その②』と呼ばれていることに気づいた。

 ゛2番手゛の意味でないのは確かで、補助、保護では彼が弱く見えるのも分かるが、未だにはっきりした理由を知らない。

 ただ察するに゛一段下゛、彼の能力に遠く及ばぬ私の使えなさ、所属や存在意義の曖昧さからではないか…、

 いずれ彼の耳に届かないとこでだが、仮に聞こえていても、自身と関連づけるなど思いもよらなかったと思う。


 




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