第4話
「そういえば、最近大人も多いんだっけ?あと家族、でも一家揃って剣だの魔法だのの世界に行きたいもの?剣なんてつまり戦乱の世でしょ」
「そんなとこばかりじゃないから…ここより遥かに発展した世界やとても平和な場所もある。
それに、異界へ行く理由が単純に゛剣と魔法゛のような世界に憧れて、という人は10代でも稀だそうだよ。大概は学校や家庭などでの人間関係――、いじめや虐待だったりの問題を抱え、そこから逃れる手段として、成人だと加えて借金苦とか」
「でもリスクの方が大きくない?物語みたく都合よく自分を助ける仲間が現れたり、簡単にするわけないもの。色々やり直したいとかあるかもだけど…、あ、生まれ変わりもあるんだっけ」
「『転生』だね。異界侵入に成功した次の瞬間赤ん坊だったとか、亡くなった人の体に自分の意識が入ったというのも珍しくない。
こういうケースだと、探し出せても異世界が第二の故郷になってたり事情が複雑で、帰国促進課は苦労する。それに近頃は皆、情報収集して吟味した上で侵入先を選ぶから、決意も固くて説得が大変だ」
「どんなとこが人気あるの?」
「分析するとファンタジー系のライトノベルやゲーム、アニメを連想させるような世界…かな」
「ふーん…ちょっと楽しそう。ま、私は無理だけど」
「当然だけどいいことばかりじゃないから、この国の人は無意識に使う親和力で大抵の異世界に馴染めるし、反発力で元いた世界への復帰も容易だけど、負荷が無いってわけじゃないし限界もある。
そもそも無数にある異界が、こちらと同じ環境である確率なんてどれ程か――知的生命体どころか生物の気配も無い世界もざら…行き来可能でも身体への負担が大きかったり、生活環境が厳しくて結局生きられなかったりする場合もある。
おまけに入るのは簡単でも、入った異界から出るのは困難だから、本来とても危険な行為なんだ」
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