善政を敷き、国に繁栄をもたらした賢王ナーダは、求められて不死王となり、二百年という歳月を民のために生きてきた。彼の声を伝える僧侶は、ある日、王が新たな妃を求めていると告げる。選ばれて王妃となったのは、十六歳の聡明な娘ジニだった。
既に木乃伊となった賢王と、少女の王妃との間に、子どもが出来たところから、物語は始まります。権力を望む王弟が、王子の出生を疑うのは無理のないことですが……。
科学と伝説、人々の信仰が試される物語の結末に、主人公ジニ、高僧ミッシカ、女医アジュラが、それぞれ本当は何を望んでいたのかが明かされます。老いたジニの見る幻の中に、物語の真の救いを感じさせて頂きました。