第6話 2回目のずる休み

ただでさえ経験の少ない私は、性同一性障害(体は女・心は男)の人とそういうことになったのは初めてでもうわけがわからなかった。

ただ彼のかすれた声が愛おしくて何度も抱きしめた。何度も見つめ合った。


一瞬も離れたくなかった。会社になんて行っている場合ではなかった。かつての私ではありえない行動だ。


結局ホテルを出たのは次の日の昼過ぎで、そのまま居酒屋で夜遅くまで飲んで話した。


「ねえ、どうなったの?大丈夫?」

友人からだ。

「うん。やっぱりこの人が好きなの。どうしよう」

「ていうかまだ一緒にいるの?今から行くよ。どこにいる?」

「名古屋駅の居酒屋」

「あたしゴルフのレッスン中だから終わり次第行くよ」


友人がゴルフウェアで現れた時は笑った。心の底からありがとうと思った。

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