フォトレター

神本かこ

第1話

冷たい風が吹く。まだ4月だというのに桜は散り僕は一人寂しく屋上でカメラを構えて青い空をレンズにおさめていた。

ここで一つ自己紹介をしたい思う。僕の名前は神谷夏樹西宮に住むごくごく普通の高校生だ。家では母さんと父さん姉さんもいる。

頭もそこまでいい方ではないし、友達も沢山いない。

僕が唯一の楽しみにしていること、それは

写真だった。小さい頃から姉さんのカメラや父さんの携帯などで片っ端から写真を撮っては見せびらかしていたらしい。

そして、そのまま時は過ぎて今に至るわけだ

そして、今日も僕は一人屋上でシャッターチャンスを見逃さないようにカメラを構えているわけだが、、、

「そんな所でなにしてるの?」

「……宮本さん。君こそココで何を?」

「何って、風に当たりに来たんですけど?」

そう言って微笑むと隣に寄ってきた。

この子は宮本千夏同じ高校に通う放送部のいわゆる人気者。と言った所だろうか。

人前でもハキハキはなし、いつも笑顔で誰にでも優しくて今になってみるとなぜ僕に話しかけてきたのか不思議で仕方が無いのだが。

「君を、とるの?僕が?」

「うん!そう!だって、写真部でしょ?」

理由になってないのだが、僕は人専じゃない。だけど、このキラキラする笑顔を見ているとなぜだか断ることが出来ない。

「……分かった。」

なるべく、嫌がらず、声に出さずOKを出してみたのだが「えー!今嫌だって思ったやろ」

ドンピシャ。「え、君、心が読めるの……?」

そう言うと彼女は「読んでないって!」そう言い笑い出したそして、「顔に出てたから、後君ってのやめようよ、私には宮本千夏って名前があるし!そうだ、宮本さんでよろしく!」

そして、朝の時間だと言い残し、嵐のようにこの場所を離れっていった。

「あ、写真……とらなくて、いいのか。うん」

撮っていかないんですか そう聞こうとしたが遅かったみたいだ。

そろそろ僕も、と立ち上がりカメラをしまって自分のクラスへと戻った。

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