入院

浜松は中東開発から帰って来た三島巡査と下田警部補から聞き込みの結果を聞いた。

 浜松「こっちは色々な証拠が見つかったから殺人事件として捜査することにした、そして駿河が不慮の事故で病院に運ばれた、そっちはどうだった?」

 三島&下田「「まず駿河葵巡査長に何があったのか聞かせ(てください!)(なさいよ!)」」

 浜松「捜索中に台所とかによく出るとされる害虫と遭遇した駿河巡査長は混乱して訳もわからず自分を攻撃したんだ」

 三島「駿河さんはポケモンかなんかです

 か!?」

 下田「こんらんならモンスターボールに戻せばなおるわよ」

 浜松「そんなことはどうでもいいから、でそっちはどうだったの?」

 下田「被害者の息子はボロクソけなされてたけど被害者は恨まれてはなかったわね、強いて言うならあのバカ息子をひいきして昇進させているところくらいかしら」

 三島「下田警部補が暴力的なのは言葉遣いなのはいつものこととして…息子の方はひどいもんでした会社の会議より趣味の登山を優先させたり、会社の同僚をナンパして断られると怒ったり、そんなに自由な暮らししているのにいつもイライラしているだとかで相当評判が悪いですね。端的に言うと、下田警部補の暴力と東刑事部長の理不尽を足してそのままな感じです」

 下田「…三島、あとでシめる…」

 三島の失言によって班内の空気は多少悪くなったものの社内の人間が犯人である可能性は少ないだろうという見解で一致した。

 公立学校共済組合関東中央病院病室

 被害者宅を出発した世田谷署北沢出張所所属の救急車は関東中央病院に駿河を運んだ。

 駿河はMRIで頭が大丈夫か調べてもらい(外傷が致命的かどうかをしらべただけであり他意はない)問題がないと判明したため個人病室の病床に寝かされていた。そんな病室内に来客があったのは日が暮れてからのことだった…病室の扉をノックした浜松たちは駿河の返事も待たず病室内へ入っていった。

 駿河「ノックをするような配慮があるなら返事を待つくらいしてください!着替え中だったらどうするんですか!」

 浜松「わ、悪かったって!でももし駿河が寝ていたら俺たちは廊下で待ちぼうけか?って三島が」

 三島「ひどいっすよ班長!俺はそんなこと一言もいってないっす」

 下田「浜松くんはむしろ『着替え見れたらラッキーだな』って呟いてたし確信犯じゃない!まあ、常日頃から警戒を怠らない元SPの葵なら着替えとか病室に入られたらまずい時には施錠をしてるでしょ、それを含めて浜松君は『見れたらいい』ではなく『見れたらラッキー』と言ったのでしょうね」

 伊豆「駿河嬢ちゃんは天然気質のわりにはそういったマジでヤバイ状況じゃ絶対にヘマしないからな、ある意味信頼されてるってことさ」

 駿河「それで、みなさんはどうしてこの病院に?お見舞いだけなわけないですよね?」

 浜松「あぁ、今日の捜査の結果気になることがあってね…どうやら渋谷氏はボディーガードを雇ったらしいんだよね」

 三島「ボディガードと言えばSP!という事でSP時代の駿河巡査長の思い出と共にいくつか気になったことについて経験者から話を聞かせてもらえないかな?ということです」

 そして駿河巡査長に説明をした。

 伊豆「まず、ボディーガードを雇うことにした理由だが、取引先の国と揉めてインフラ計画を白紙に戻して日本に帰ってきたから、もしかしたら現地の住人に恨まれているかもしれない。工事現場は何回も訪れたので顔はばれている。いつ刺されるかわからない状態なので守って欲しい…とそして警備員常時10人体制で守られていた、二十四時間警備で守っていたのに渋谷氏はあっさり殺された、これはボディーガードが問題なのか?それともこの警備をすり抜ける方法があるのか? ちなみにいっておくけどボディーガードは息子さんが見つけるまで死体を見つけられなかったそうだ」

 駿河「ん?別におかしくはないんじゃないですか?ボディーガードたちは『見た目は子供で頭脳は大人の眼鏡君』じゃないんですから、物騒な現場にいるといったってそんなに死体を見る機会はありません!あるとしたら護衛対象が殺されたときか、仲間が殺られたときか、襲撃者を射殺したときくらいですね。民間のボディーガードならそんな経験もないでしょうし、護衛中は確かに護衛対象に全神経を集中させるわけですが、護衛対象のプライベートを確保することもそこそこ大切です、護衛対象者が家の中に入ったなら民間のボディーガードは外で侵入者の監視をするでしょうから、中から多少物音がしても気づくことはないでしょうね。さらに言うならばボディーガードへの依頼は特定の外敵からの護衛です。今回はさらに当てはまらないならば任務失敗ではありません」

 伊豆「少し気になったのだが、駿河嬢ちゃんは任務中に人が死んだとこを見た経験は?」

 駿河「ありますよ、制止命令を振り切って突っ込んでくる襲撃者がいて、手足撃ち抜いても止まらなかったのでヘッドショットしました。犯人は爆弾を巻いてたので爆破ボタンを押す前にヘッドショットできてよかったです」

 浜松「どこのハリウッド映画の話ですか?というか爆弾のボタンを狙撃して無力化するとかできなかったのかな…」

 駿河「無理ですね、ボタンは内部の基盤を確実に壊さないと止まらないのでリスクが高すぎます、手をさらに撃ったら、痛みによる反動でスイッチが押されてしまいます。よって痛みを感じる前に即死する頭部を狙ったんです。こんなの常識ですよ?」

 三島「顔は保育園の先生や交通安全教室とかで働いていても違和感ないほど優しそうなのにそんなぶっ壊れた常識を持ってるなんて駿河さん怖すぎるっす!」

 浜松「かわいい顔してやることえげつない、『いつもあなたの隣に這い寄る混沌』さんが頭の中に思い浮かんだよ」

 駿河「いやいや、さすがにバールのとがった方で相手を虐殺する某ニャ○子さんほどひどくはないと思います」

 下田「葵ちゃんってアニメのネタが分かるのね…浜松ごときと同類だとは思わなかったわ」

 浜松「下田ちゃんはさらっと俺にもダメージ飛ばすのやめてくれる?」

 駿河「他には何か質問はありますか?」

 下田「じゃあ犯人は内部の人間でいいのね?」

 駿河「いえいえ、SPは身体検査こそするものの身元が分かっている訪問者なら普通に通しますよ、これもプライベートを守ることに繋がります」

 浜松「つまり凶器が全て家の中の物である今回の事件では外部犯の可能性があるということですね」

 駿河「そういうことです」

 ボディーガードがいても外部犯に犯行は可能と分かったところで面会終了時間となり浜松たちは帰っていった。

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