外務省の企み
中東開発株式会社本社駐車場
三島と俊介さんの二人を送り終えた駿河はアニソンを聞きながら待機していた、この駿河葵も仕事に対する熱意に大きな差があれど熱狂的オタクという側面で言えば浜松と同類であった。待機を命じられればいつでも駆けつけられる体勢でアニソンを聞きながら待つ、仕事をきちんとしているからこその光景である。
しばらくすると警察車3台と共にポルシェ911が駐車場に現れた、下田結の車である。駐車場の端に停車して10人ほどの捜査員が降りてくる
駿河「お疲れ様です、結警部補、三島は先に中に入ってます、企画部にいけば合流できると思います」
下田「そっちも三島に振り回されるなんて災難だったわね葵巡査長、これからあなたは渋谷宅で自殺の証拠集めよ伊豆巡査部長の指示にしたがっていれば間違いはないから、私はこれから所轄の刑事や三島と一緒に会社に何か原因がないか調べるわ」下田の命令にしたがって渋谷宅に戻る駿河、しかし駿河は背後から追いかけてくる黒塗りのワゴンに気づくことが出来なかった。
外務省
外務省の一室では東刑事部長と長町中東アフリカ局局長が話し合っていた。
長町「東刑事部長、困るんですよね、この中東開発株式会社にちょっかいを出されるというのは、どうにかなりませんか?」
東「長町中東アフリカ局局長、無理です、といいますか止めること自体はできるでしょうが部下にあらぬ疑いをかけられて後々面倒なことになるのではないか、という懸念が残ることになる。それを望まないのはこちらもあなたも同じことでしょう」話の内容は『11係の関わっている件から手を引いてくれないか』というものだった。これは東にとっては受け入れがたいものだった。なぜなら現場からの報告を見る限り自殺で決着しそうな案件であり、手を出すまでもなく勝手に終息する案件だからだ、下手に手を出した方がこじれてしまう。しかしなぜ外務省が介入してくるのか分からなかった、今回のヤマは大使館関係でも国の重役が関わる案件でもない、本来ならそこまで必死で頼み込むメリットはないはずだ。
東「なぜそこまで介入する必要があるとお考えですか?今回の案件に介入するのは費用対効果が悪すぎる」
長町「今回の被害者はヨルダンの方で問題を起こしましてな、ヨルダン政府から身柄を渡すように迫られていたんですよ、自殺とされるとヨルダンに『日本が不都合を隠すために消した』と言われかねない、いいですか?我々外務省にとっては自殺であった方が困るんですよ」これには東も困った、資料を見る限りでは被害者の渋谷氏はほぼ間違いなく自殺、他殺にしろといならば誰か犯人を捕まえなければならない。「しかし…他殺と言うことにするならば…」「ええ、ええ分かってますよ東さん、それはこちらでどうにかいたしましょう東さんはあくまでも自殺ではなく他殺の方向で捜査するように部下たちに命令すればいいだけの話です…」
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