捜査 初め!

一方その頃渋谷宅

 浜松、下田、伊豆の3人は三島の残したボイスレコーダーを聞いていた

 下田「何でこの第一発見者は被害者が使った本と椅子の足場ではなくわざわざ机を持ってきたの?非効率的だし時間もかかったはずよ」

 浜松「そこら辺についてはなんか後で証言してるんじゃないか?…してないな」

 伊豆「下田の姉御、俺は手すりと被害者が密着していたところに違和感を覚えるぜ、普通首吊りなら少し余裕のある輪を作って首にかけて絞めるよな、そしたらそれなりの隙間はあったと思うのだが」

 下田「三島はとても近かったとかでなはなくてなんセンチくらいの隙間だったとかもっと客観的な証言をとらないといけないってことわかってるのかしら…」

 浜松「そんなこと言ってもさ~もう帰してしまってるんでしょその人、ちょうどいいから駿河ちゃんと三島くんはそのまま会社の聞き込みをはじめてもらいましょ」

 下田「葵ちゃんは聞き込みには向いてないわよ真面目な上にフレンドリーだから相手の話についつい乗っかっちゃって聞き込みが雑談に変わっちゃうから」

 浜松「…下田ちゃん悪いけど中東開発に向かってくれる?あと駿河ちゃんには戻るように伝えて、 伊豆は自殺の証拠集めして」

 下田 伊豆「「了解!」」


 中東開発株式会社本社ビル

 駿河の運転するアクアは中東開発に到着したところだった、「よし、やっと中東開発に到着しましたよ~って!な・ん・で三島も俊介さんも寝てるのかな?(怒)」駿河は三島をたたき起こす、俊介さんを起こそうとした、しかし呼び掛けても揺すっても叩いても起きない…15分後やっと自力で起床したのだった。「すいません、俺は母さんと違って一度寝るとなかなか起きれない質でして…」と言い訳をしながら社内に入っていく(このときには無線で浜松の指示は届いていたため、三島は社内に入ったものの駿河は駐車場で下田の到着を待っていた)

 俊介さんがオフィスに入ると部下の人たちから専務が来ないことの説明を求められた、殺されたことを伝えるとオフィスの雰囲気がお通夜のそれに変わった、しかし三島は一人だけ薄笑いを浮かべている社員がいることに気がついた、三島は声をかけた、少し変則ではあるが職質をかけるのと手順は変わらないので三島にとっては手慣れた仕事だった「あの、池田さん?でしょうか。少しお話を聞きたいのでこちらに来てもらってもよろしいでしょうか?」池田と呼ばれた人物は訝しげながらも素直に応じてくれた、三島はあくまでも『社内での被害者の様子を知りたいからサンプルとして呼んだ』という言い訳を交えながらあの薄笑いの理由を探った。

 三島「警視庁の三島っす、殺人事件の捜査の一環で社内での被害者渋谷泰則さんのことについて聞かせてもらえるとありがたいっす!まず、彼は社内でどんな仕事についていたっすか?」

 池田「渋谷専務は会社全てを取り仕切っていましたが主に営業部と企画部を指揮していた経験から取引先の国の高官と具体的な計画を練るときに現場の代表をしていることが多かったです」

 三島「社内での評判、特に部下に対する態度に問題がなかったかどうか知りたいっす」

 池田「専務という経営側の人間の割には部下に対して柔らかい態度でしたね、ミスをすれば怒こられますけれど理不尽な点はなかったです、しかし人事という点に関しては疑問もあります自分の息子を優先して昇格されているので昇格意欲の強いやつは悔しい思いをしたかもしれませんね、渋谷俊介、あいつ俺と同期なのにもう係長なんですよ入社三年目で係長は異例すぎます、俺なんてまだ新人扱いなのに…」

 三島「念のため聞いておきますけど女性関係での揉め事は…」

 池田「あんな愛妻家なかなかいないと思いますけどね、もしそんな理由で殺されるなら日本の家庭の9割で殺人事件が起きる、と言いたいくらいに夫婦の仲はいいですね。

あっ!息子の方はひどいもんですよ、受付の女性社員に交際を迫った、交際してた人が妊娠したらビビって逃げた…何て噂もたつほどです」

三島「渋谷氏の身に何か最近変わったことはありませんでしたか?」

池田「彼はちょっと前に外渉で問題を起こしてしまいました、渋谷常務は責任とらされてここ最近は平社員と同程度の給料で働かされていましたね、最近の変化はこのくらいでしょうか?」

 特にこれといって収穫があるわけではなく三島は池田への事情聴取を終えた

 ふと三島が窓の外を見るとたった今駐車場についたポルシェ911が見えた。下田の車だ、これから被害者の周辺への聞き込みが始まる

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