第7話 新任教師

「天使の輪っかに純白い羽! ホワイトファンタジー! 美歌恵流!」

元々大天使の美歌恵流は佐藤のカンペに抵抗なくスラスラと恥ずかしいセリフとダンスと決めポーズができる。

「漆黒のボディに黒龍の翼! ブラックファンタジー! 刃覇夢徒!」

元々最強の竜の刃覇夢徒はシャイなので抵抗があるが、地球の平和を守るために覚悟を決めた。

「可愛い猫耳に矢印尻尾! ダークファンタジー! 瑠詩富亜! わ~い! 決まった!」

元々大悪魔の瑠詩富亜は極悪な悪魔ではなく、可愛い子悪魔的な悪魔にしておいて良かった。

「牛やカバと呼ばないで! 牛乳もカレーも大好き! イエローファンタジー! 辺陽藻栖!」

元々最強の獣の辺陽藻栖は戦隊シリーズに1人はいる食べ物担当。

「普段は病弱! 水のある所では最強! 決して兵長と呼ばないで! ブルーファンタジー! 璃羽威亜紗!」

元々最強の生物の璃羽威亜紗は近くに水がある所では強かった。

「5人合わせて、異世界戦隊! ファンタジー!」

個人個人の紹介を終えて5人は決めポーズを決める。若干、刃覇夢徒だけは恥ずかしそうだった。

「異世界戦隊だと!? ふざけるな!?」

太陽女神天照大神は異世界戦隊ファンタジーに呆れて怒る。

「異世界ファンタジーボンバー!」

聖なる光と竜の炎と闇の光と獣の突進力と海竜の竜巻を1つに合わせて放つ大技である。

「ギャア!?」

天照大神は異世界ファンタジーボンバーを食らって倒される。

「地球の平和は私たちが守る。」

背景で天照大神が大爆発を起こす中、決めポーズを5人は決める。

「わ~い! 勝った! 勝った!」

「私たちはやればできる子よ!」

「・・・は、恥ずかしい。」

「帰りにチキン食べてく?」

「ゴホゴホ。水・・・水を下さい。」

異世界戦隊の隊員たちは喜んだ。

「喜ぶのはまだ早い! ひねりつぶしてくれるわ!」

その時、倒させたはずの天照大神が巨大化して現れた。

「下からパンツ丸見えですけど。」

真下にいる隊員はベストポジションにいた。

「太陽女神に歯向かったことを思い知らせてやる!」

巨大化した太陽女神天照大神が異世界戦隊に襲い掛かる。

「ちょっと待った!」

その時、ちょっと待ったコールを言いながら、謎のロボットが現れる。

「なんだ!? カラスだ!? ヘリコプターだ!?」

天照大神は驚いた。

「超合金デラックス! 佐藤さくらロボ! 参上!」

空を飛んできたのはロボット化した佐藤さくらだった。

「佐藤さん!」

「佐藤!」

「佐藤先輩!」

「さくらちゃん!」

「佐藤さくら!」

異世界戦隊は目の前の超合金デラックス! 佐藤さくらロボの登場を頼もしく頼りにしている。

「くらえ! 佐藤さくらパンチ!」

佐藤さくらロボは地球の平和を守る必殺のパンチを繰り出す。

「ギャア!?」

太陽女神天照大神はパンチを食らって、どこかへ吹きとばされた。

「地球の平和は私たちが守る! ワッハッハー!」

喋れる笑える、そして強い。今やちびっ子のアイドル、超人気の超合金デラックス! 佐藤さくらロボである。そして緞帳が降りてきて終わる。

「パチパチパチパチ!」

鳴り止まない拍手に包まれ幕を閉じる。

この物語は可愛い女子高生の部活動、渋谷塚歌劇団部が演じるお芝居の名作、異世界戦隊ファンタジーが地球の平和を守るという物語である。ちなみに普通の女子高生、佐藤さくらが新型ヒロイン、超合金デラックス、佐藤さくらロボに変身する方法は秘密である。



ここは歌劇団の部員が暮らす異物寮。

「すや・・・すや・・・。」

この物語の可愛い女子高生ヒロイン佐藤さくらも寮の部屋のベッドの上で寝ていた。佐藤さくらは可愛い襟のあるパジャマを着て眠っている。この話はもう少しヒロインというものを掘り下げて考えようというものである。

「イタタタタッ!? 足!?」

意外に寝起きが良い佐藤は、最強の鳥ジズが可愛い女子高生の慈豆になった姿の女の子に顔を蹴られて目を覚ました。時間の経過と共に、なんとか元の大きさに戻った超合金デラックス、佐藤さくらロボ。しかし合体したジズと離れることができなかった。

「あ、離れてる!? やった! やった!」

目が覚めると慈豆と体が離れていた。これでトイレもお風呂も一人で行ける。昨夜は不便な生活を送っていた。

(二度と合体なんかするものか!)

佐藤は思った。

「もう!? なんて寝相が悪いの!?」

慈豆は頭の位置は逆。自分の羽毛をまき散らしながら、鳥の巣型の丸いベッドで眠っていた。

「よし! ランニングでもして気分転換しよう!」

佐藤はパジャマを脱ぎジャージ姿に着替え校庭を走りに部屋を出ようとする。

「ぐう・・・ぐう・・・。」

まだ慈豆は温かい鳥の巣の中で眠っている。この時点で佐藤はヒロインとしての王道を進んでいる。ないとは思うが、もし慈豆に負けているとすれば鳥の巣ベッドぐらいだろう。

「クス。いってきます。」

しかし、佐藤さくら用ベッドがお姫様ベッドの天蓋付きベッドにすると異世界ファンタジーのプリンセスならともかく、現代SFファンタジーのヒロインとしてはやり過ぎ感がある。また佐藤さくらロボなので地球防衛隊のドックで巨大化したまま修理されながら眠るということもありなのだろうが、今はやめておこう。



高校の校庭。

「朝のランニングって気持ちいい!」

佐藤が起きたのが5時として、ランニングも5時代にしているだろう。朝の優しい陽ざしのシャワーを浴びながら、気持ちのいい汗をうっすらかいている。走っていると普通サイズの胸でも軽く揺れるのが良い。

「あ!? お~い! 刃覇!」

佐藤が走っていると誰かが前を走っている。同じく歌劇団部の最強の竜バハムートが可愛い女子高生になった刃覇夢徒だった。

「おはよう! 刃覇!」

「おはよう。」

いつも元気で明るく前向きで笑顔のヒロイン佐藤と比べると、マイペースで口数が少なく無表情なクールビューティーでわがままだけど、シャイの一言で周囲を黙らせる刃覇夢徒が早朝ランニング特訓をしていた。

「早いのね。」

「私は毎日この時間に走っている。」

最強の竜バハムートは可愛い女子高生の刃覇夢徒になっても鍛錬を怠らない。しかし残念ながら刃覇夢徒がランニングをしても胸はさらしを巻いている如く揺れないのであった。

「それよりもいいのか?」

「何が?」

「慈豆を起こさないと授業が始まっても寝てるぞ。」

「ええ!?」

最強の鳥ジズは寝起きが悪く、始業開始のベルも聞こえないぐらいぐっすりと眠っている。授業中も知名度と存在感の薄さから、出席扱いにもされないが、欠席扱いにもされないのである。慈豆は昼から学校に登校し、職員室で1時限目の出席簿に出席の丸印を書き、全授業に出席していたことにするのだった。

「ウッシシシ。」

職員室に多数の先生はいるのだが、誰も不敵に笑う慈豆の存在に気づかなかった。

「慈豆!?」

佐藤は口から火を吐きそうだが、ヒロインが火を吐く訳にはいかない。ランニングが終わったら佐藤は慈豆を叩き起こすことを心に決めた。



ランニングが終わり、汗を洗い流すためにシャワー室。

「やめろ! 佐藤ちゃん! ぶっ飛ばすぞ!」

気持ちよく眠っていた慈豆は刃覇夢徒のチクリにより、佐藤に鳥の巣ベッドから引きずられてシャワー室にやってきた。

「いいから黙ってシャワーを浴びなさい!」

佐藤は慈豆をシャワー室に無理やり連れてきた。何が何でも学校に遅刻させないつもりである。

「ふあああ! なんですの? 朝っぱらから・・・人がせっかくいい気持ちで眠っているのに・・・。」

異物寮の大浴場から璃羽威亜紗が現れた。

「おはよう、璃羽威。」

佐藤は璃羽威亜紗に朝の挨拶をする。

「璃羽威ちゃん、朝からお風呂に入っているのよ!?」

慈豆は大浴場から出てきた璃羽威亜紗に尋ねる。

「私は大浴場で就寝していただけですよ。」

璃羽威亜紗は大浴場をベッド代わりに眠っていたという。

「え!?」

佐藤と慈豆は璃羽威亜紗の返事に固まった。

「部屋のウォーターベットだと小さいので。オホホホホ。」

ちなみに璃羽威亜紗のベットは小さな水槽である。元々最強の生物リヴァイアサンの璃羽威亜紗は陸より水の中の方が生活がしやすかった。

「そんな寝方してるから体調を壊しやすいんじゃ・・・。」

「まだ私の鳥の巣ベッドの方がマシな気がしてきた。」

佐藤と慈豆は、それ以上は璃羽威亜紗に尋ねなかった。



異物寮の厨房。

「さあ! おいしい朝ごはんを作るわよ!」

シャワーで汗を洗い流してスッキリした佐藤は朝ごはんを作ろうと寮の厨房にやって来た。

「どうして私まで・・・。」

慈豆も佐藤と一緒に厨房にやって来た。

「おはよう。さくらちゃん。」

厨房では辺陽藻栖が朝ごはんを作っていた。

「辺陽藻栖は朝が早いのね。」

佐藤はこの寮でまともな人間を初めて見つけた気がした。

「カレーにラーメン、チャーハン、焼きそば、かつ丼、たくさん作るから早起きしないと作れないんだ。」

辺陽藻栖が早起きするのは自分がたくさん食べる料理を作るためであり、決して寮の仲間の朝ごはんを作っている訳ではない。

「え!? それ全部食べるの・・・。」

佐藤は辺陽藻栖を疑った。

「そうだよ。おいしそうでしょう。」

辺陽藻栖の料理の腕前はプロ並みに上手だった。確かにどの料理もおいしそうだった。

「私も負けない! 今日は朝からフライドチキンを作るわよ!」

佐藤の献立はフライドチキンに決まった。ヒロインとして、嫁として料理ができるというスキルは絶対条件であった。

「まず鍋に油を注いで、高温になるまで煮込みます。」

佐藤のフライドチキン作りは順調な気がした。

「何か嫌な予感がする・・・。」

慈豆は最強の鳥ジズはフライドチキンと聞いて、共喰いは好きじゃないと感じていた。

「慈豆、鍋に飛び込め!」

佐藤は慈豆を煮えたぎった油鍋に放り込むつもりだった。

「ええ!? ギャア!? やめろ!?」

慈豆は抵抗するが佐藤は止まらなかった。

「ジュワアアアア!」

その日の朝食には佐藤さくらの手作り料理、最強の鳥ジズのフライドチキンが

並んだらしい。これで佐藤は嫁にしたい条件の料理ができるを無難にクリアした。



朝食を終えた佐藤は学校に登校する。

「おはよう佐藤さん。」

「わ~い! おはようございます。佐藤先輩。」

登校途中に美歌恵流と瑠詩富亜の天使と悪魔の凸凹コンビに出会った。

「おはよう、美歌恵流と瑠詩富亜は仲がいいのね。」

佐藤には2人は仲良しに見えた。

「私が悪魔と仲がいい!?」

佐藤の言葉は元々大天使ミカエルの美歌恵流には気に障った。

「わ~い! 美歌恵流先輩! 大好き!」

瑠詩富亜は小悪魔のように美歌恵流に懐いている。

「私の下僕ということなら仲良くしてあげるわよ! ホッホッホ!」

下手に出る瑠詩富亜に美歌恵流の機嫌はとても良かった。

「べーっと。」

瑠詩富亜は美歌恵流の見えない所で佐藤に向けて舌を出す。

「さあ! 学校へ乗り込むわよ!」

「わ~い! 美歌恵流先輩と一緒!」

完全に美歌恵流は瑠詩富亜の手の上で踊らされていたのだった。

「あはは・・・。」

佐藤は美歌恵流と瑠詩富亜を見て、天使と悪魔って怖いんだなっと感じる。

「おはよう、さくら。」

その時、鈴木が現れた。

「おはよう、変態。」

佐藤は鈴木に対しては冷たかった。

「見たな!」

佐藤は鈴木に恨みを込めてすごむ。

「な、なにを!?」

鈴木は佐藤の迫力にビビる。

「私の純白パンティー見たな!!!」

佐藤さくらはヒロインであり、ヒロインは白のパンティー限定である。たまにイチゴやクマさんのプリント入りパンティーであろう。妻ならともかくティーバックは可愛い女子高生ヒロインには不可である。

「うわあ!? ごめんなさい!」

鈴木は佐藤が怒っているのが怖くて、一目散に走って学校に入っていく。

「もう! まったく! 陸ったら!」

佐藤は巨大ロボになることはできても、花も恥じらう16才の女子高生である。男の子の鈴木にパンツを見られることは恥ずかしいのだった。

「キーンコーンカーンコーン!」

そうこうしている間に始業のベルが鳴り響く。

「いけない!? 遅刻しちゃう!?」

決してヒロインの佐藤さくらは遅刻しないのだ。佐藤は学校に走って入っていった。



授業中の佐藤。

「1+1=2です。」

ヒロインはバカであってはいけない。佐藤さくらの成績は優秀だった。

「そんな簡単な問題は解けて当然よ。」

自分がヒロインになりたい美歌恵流は佐藤の成績が良いことを認めない。

「よくできました。次の問題を美歌恵流さん答えなさい。」

先生は美歌恵流を指名した。

「わ~い! 美歌恵流先輩! がんばれ!」

瑠詩富亜は心にも美歌恵流の応援をする。

「元々大天使の私に任せておきなさい!」

美歌恵流は自信たっぷりに問題を解いていく。

「+++=大天使です! ギャッハッハッ!」

美歌恵流は答えに大天使と書いて自画自賛に喜んだ。

「わ~い! 美歌恵流先輩! すごい!」

瑠詩富亜は更に美歌恵流をおだてる。

「・・・。」

先生は言葉を失った。

「では、次の問題を刃覇夢徒さん答えなさい。」

先生は触れてはいけないものに触れてしまった。

「・・・。」

刃覇夢徒は先生を黙って睨む。そして仕方がないなという感じで動き始める。

「ファイア。」

刃覇夢徒はイスに座ったまま指先をエイっと黒板に向けて炎を飛ばす。

「ドカーン!」

刃覇夢徒の放った炎が先生と黒板を焼き飛ばした。

「これが答えだ。」

刃覇夢徒は最強の竜バハムートらしく問題を解き終えた。

「刃覇! あんた何をやってるのよ! 先生を吹き飛ばすなんて!?」

佐藤は刃覇夢徒を叱る。これも1年生の歌劇団部のヒーローとヒロインというゴールデンコンビならではのやり取りである。

「知らん。」

刃覇夢徒は悪びれる様子もなく普通にイスに座っている。

「授業をどうするのよ!?」

佐藤は刃覇夢徒が先生を吹き飛ばしてしまい、授業が中断してしまう。

「こんにちわ。」

「あなたは!? アプロディーテー!? 倒したはずなのに!? どうして!?」

その時、倒したはずの愛と美の女神アプロディーテーが人間サイズで教室に現れる。

「私の名前は愛美露出手。新任教師です!」

なんと倒したはずの愛と美の女神アプロディーテーは新任教師としてやって来た。

「新任教師!?」

佐藤たち生徒は予想外の悪い女神の教師化に驚いた。

「まさか!?」

佐藤は何かに気づき、隣に座っている鈴木を疑いの目で見る。

「陸・・・あなた、まさかへなちょこな欠陥商品の拳銃でアプロディーテーをを撃ったんじゃないでしょうね?」

鈴木の拳銃は佐藤が好きだという感情が邪魔をして、撃った相手を殺すのではなく、可愛い女子高生に変身させてしまう。

「撃ったよ。」

鈴木は悪びれることもなく、聞かれたことに答える。

「やっぱり!? おまえか!?」

佐藤は机を持ち上げて鈴木に襲い掛かろうとする。

「お止めなさい!」

新任教師の愛美露出手が机を持ち上げている佐藤を止める。

「佐藤さん、机を下ろして暴力行為をやめないと、退学処分にしますよ。」

新任教師の愛美露出手は教師の権限で佐藤を脅す。

「なに!?」

佐藤は新任教師として再登場したアプロディーテーを思わず睨む。

「私、これでも新任教師なので。」

新任教師の愛美露出手はニヤッと笑う。

「クソッ!?」

佐藤は鈴木を机で殴りつけることを諦め机を教室の床に置いた。

「それでいいんですよ。なんなら部活動禁止なんて処分もできますからね。これからは問題を起こさずに仲良くしましょうね。」

新任教師の愛美露出手は勝ち誇った微笑みを見せる。

「嫌な予感がするわ。」

美歌恵流は愛美露出手の登場に不吉な感じを受けた。

「どうしたんですか? 美歌恵流先輩。」

瑠詩富亜は深刻そうな表情をしている美歌恵流に尋ねる。

「愛と美の女神アプロディーテーが教師として現れたということは、守護女神アテーナーと太陽女神天照大神も教師になって再登場する可能性があるってことよね!?」

美歌恵流は自分の出番が減るのを心配する。そもそも自分たちが女神となぜ戦っているのかは知らない。

「わ~い! 女神がいっぱい! イタッ!?」

「おまえはアホか。」

喜ぶ瑠詩富亜を拳で頭を殴る美歌恵流は殴られなくても頭が痛かった。

「zzz。」

そんな授業中だが、刃覇夢徒は昼寝をしていて無関心。雀にくちばしで突かれても起きないで気持ち良さそうに眠っている。

「焼きそばパンおいしい。次はチョコパン。」

辺陽藻栖は幸せそうに授業中に購買部で買った焼きそばパンを食べている。焼きそばとチョコの相性がいいのかは分からない。

「ゴホゴホ。薬、薬。」

璃羽威亜紗は水の無い教室では病弱な体質で咳ばかりして薬が手放せないのだった。

「それで授業を再開します。算数なんてバカバカしい。愛と美の授業を行います!」

「おお! エロとセクシーの授業だ! 愛美露出手先生最高!」

新任教師の愛美露出手は一瞬で男子生徒の心を手に入れた。もちろん鈴木も鼻の下を長く伸ばして喜んでいた。

「なによ。ただの保健体育と美術の授業じゃない。」

佐藤はヒロインとして、エロい話には交わらないので嫌気と呆れを感じながら授業を受けるのであった。



そして昼休み。

校舎の屋上で仲良くお昼ご飯を食べる歌劇団部の6人組。

「みんな、準備ができたわよ。」

佐藤は屋上のコンクリートの床にレジャーシートを引き、可愛い女子高生たちの楽しいランチの準備をする。きめ細やかなサービス精神がヒロインや嫁としてのポイントを佐藤さくらに集める。

「私は教会の中で食べたいのに、どうしていつも屋上になるのよ?」

元々大天使の美歌恵流は大天使らしく教会で祝福をしてからランチを食べたかった。

「仕方がないでしょ。絶対に刃覇は動かないもの。」

そう、なぜ屋上限定でランチをするのか、それは刃覇夢徒がゴミゴミして騒がしい教室が嫌なので、静かでお気に入りの屋上で休憩するので、それに佐藤たちが合わせているという友達思いの仲良し6人組であった。

「ちいっす。」

この一言が口数の少ない刃覇夢徒なりの感謝の表現であった。戦闘かお芝居以外はダメなのが刃覇夢徒であった。

「私は好きですよ、屋上。だって雨の日もあるんですから。」

目を輝かせて水が大好きな璃羽威亜紗が言う。

「いや、さすがの刃覇も雨の日は室内で食べるでしょう。」

佐藤は雨の日は屋上で傘を差しながらランチをしたいとは思わなかった。

「テントがある。」

刃覇夢徒は屋上にテントを設置していた。これで雨の日でも大丈夫。

「寝袋にランタンもある!? ここで寝てるのね!?」

刃覇夢徒には寮の部屋では狭いので居心地が悪かった。やはり最強の竜は高く天に近い所で雄大に寝袋に入って寝るのである。

「気持ちわかるな。私も厨房で寝るからね。」

辺陽藻栖には寮の部屋は何もないのである。料理研究家で食いしん坊な辺陽藻栖は食べ物がない所では安心して眠れないのである。

「こ、こいつらはいったい・・・。」

佐藤には規格外の価値観の会話をする連中を疑った。そして、まだ一人触れていない悪魔の存在に気づいた。

「瑠詩富亜、それはトマトジュース?」

元々大悪魔の瑠詩富亜は赤い飲み物をおいしそうに飲んでいた。

「いいえ! これは人間の生き血です! ニタッ。」

瑠詩富亜の歯は真っ赤だった。

「ギャア!?」

佐藤は恐怖で思わず悲鳴をあげる。

「なに、これ?」

しかし佐藤は床に落ちているペットボトルに気づいた。

「人間の生き血ドリンク!?」

そう、瑠詩富亜が飲んでいたのは飲料メーカーが作った、赤いジュースで名前が人間の生き血というらしい。

「紛らわしい!」

佐藤は人間の生き血のペットボトルを投げ捨てる。

「私の生き血が!?」

瑠詩富亜は投げ捨てられたペットボトルを犬のように追いかけていく。

「このランチタイムが3年間続くのね・・・。」

佐藤はヒロインとして愉快な仲間たちと楽しいランチタイムを過ごすのだった。ちなみにキャラクターが増えたり、キャラクターがレベルアップした場合はもっと素敵なランチタイムになるだろう。



放課後。

「よし! 部活がんばるわよ!」

佐藤が歌劇団部の部活動をする頃には、1話1万字だと残り2000字になっていた。

「そんな、アホな!?」

尺が無いのだった。しかもテンプレ貼り付けすると1万字を超えてしまった。

「部活動なんてさせないわよ!」

その時、佐藤に声をかける者がいた。

「天照大神!?」

「そんな!? 私が倒したはずなのに!?」

佐藤は巨大化した太陽女神天照大神の再登場に驚いた。

「あの時は油断していただけよ! 今回は八咫鏡と八尺瓊勾玉もちゃんと持ってきたんだ! 絶対に負けない!」

太陽女神天照大神は、三種の神器のうちの二つ八咫鏡と八尺瓊勾玉を持っている。

「もう一度、コテンパンに倒してやる!」

佐藤はヒロインとして強く気高くなければいけないのだった。

「女神を恐れぬ愚か者め! 人間など踏んづけてくれるわ!」

「うわあ!?」

太陽女神天照大神は巨大な足の裏で佐藤を踏みつけようとする。

「これで終わりだ! ぺちゃんこにしてくれる!」

太陽女神天照大神はとどめの一撃を倒れている佐藤に与えようとしている。

「絶対に負けるものか! 地球の平和は私が守る!」

その時、佐藤さくらが立ち上がる。

「女神だからって許さないわよ! 変身! 佐藤さくら・ロボ・チェンジ!」

佐藤は巨大化して守護女神アテーナーと再び戦うというのだ。なぜか高校の制服まで巨大化するので服が破れてセクシーシーンは変身時はない。女神の攻撃を受けて服が破けて中身が見えるというのは不可抗力はある。

「おもしろい。女神に二度の敗北はないぞ。」

太陽女神天照大神は必殺の太陽光線を放とうと太陽光線をチャージし始めた。

「大きくなっても可愛い女子高生! 超合金デラックス! 佐藤さくらロボ! 下からパンツは覗かないでね!」

なぜ変身できるのかは謎であるが佐藤さくらロボの完成である。

「出たな! 佐藤さくらロボ! 今度こそ倒してやる!」

太陽女神天照大神が太陽光線をチャージしている間に、佐藤さくらロボが襲いかかる。

「くらえ! 佐藤さくらパンチ!」

巨大ロボ化した佐藤さくらの必殺の一撃が天照大神を襲う。

「ギャア!?」

パンチをくらった太陽女神天照大神は遥か彼方まで飛ばされて星になって消え去った。

「やった! 勝った! 勝ったわ! 私、偉い! ホホホホホッ!」

女神に勝った佐藤は自画自賛で勝利の雄叫びをあげていた。

「さあ! 部活動がんばるわよ!」

1話に一度か二度は戦闘シーンをいれないといけない巨大ロボットモノの宿命を乗り越えた佐藤さくらであった。

「どうやって小さくなればいいのよ!?」

佐藤は巨大化した後に人間サイズに戻る方法を知らなかった。この時点で尺は編集して1000字残った。



部活動開始。

「右! 右! 左! 右!」

佐藤たち1年生の部員はセクシーバニーガール衣装でラインダンスの練習をしていた。

「い、痛い!? 足が上がらない!?」

佐藤はヒロインのくせに体が硬かった。

「どうして不愛想な刃覇がお芝居に関しては完璧なの!?」

刃覇夢徒はミスなく足のつま先まできれいに伸びて一直線だった。

「全員集合!」

渋谷塚高校渋谷塚歌劇団は体育館で練習をしている。歌と踊りと世間には華やかな世界に見えるが、完全な体育会系の厳しい部活動であった。部長の夜露死苦先輩が部員を集合させる。

「歌劇団部のテーマは、清く、正しく、勇ましくであるが、今日は歌劇団部のイメージソングを全員で作りたいと思う。」

夜露死苦部長から重大発表があった。歌劇団部のイメージソングを作ろうという提案であった。戦闘シーンもそうだが、マンガやアニメのように絵があるものではないので、ダンスやお芝居の動作というものは簡素になってしまい、やはり小説は頭脳・ミステリー・探偵・謎解きものが適しているのはやむを得ない。

「イメージソング!?」

佐藤たち歌劇団部の部員はザワザワした。この辺の問題は権利問題とかでプロでも嫌がるものである。だがヒット作のアイドルモノでも似た様な歌は山のようにある。要するに盗作だと言われても認めなければ、それでよいという業界だ。

「自分で歌を作れる!? すごい!?」

佐藤たちは自分たちでイメージソングを作れることに驚くとともに喜んだ。素人が素人なりに歌詞をオリジナルで作るのだから、盗作ではない。小説では作詞は向いているだろうが、作曲は向いていない。

「こんなのどう? さ、さ、佐藤、さ、さ、さくら、佐藤さくらロボ!」

佐藤は即興で自信満々に歌を歌い出す。

「却下!」

「はぁ・・・。」

「え~ん・・・。」

「ごはんがまずくなりました。」

「ゴホゴホ!? 咳が止まらない!?」

歌劇団部の部員には佐藤の歌は残念に聞こえた。曲がない中で作詞することは難しいことではなく、業界では普通のことなので、がんばって作詞をしよう。

「イメージソングは宿題にするので、みんなで考えてきてくれ。」

「はい!」

夜露死苦部長の号令に歌劇団部の部員はイメージソングに自分の痕跡を残そうと必死だった。

「私の考えた歌が歌劇団部のイメージソングになるのね! そのチャンス! 私がもらった!」

誰も期待していないが佐藤はヒロインとして、素晴らしい曲を作ることを心に決めるのだった。

「それでは今日の練習は終わり。お疲れさまでした。」

「お疲れ様でした!」

ヒロイン佐藤さくらの1日はこんな感じで終わる。多少、歌劇団部の活動にたどり着くまでに尺を使ってしまったので、少ない尺でチャチャっと仕上げるとこんな感じになってしまった。

「私の出番は!?」

どこからか現れたのは最強の鳥ジズの慈豆である。彼女は知名度と存在感の薄さから忘れ去られていた。


つづく。

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