第2話 ヘッドとアド 

 我々の宇宙にある銀河のその一つ一つに管理者"administrator(アドミニストレータ:通称 アド)"と呼ばれる存在が居て、管轄する銀河の絶対者として君臨している。管理者は、その銀河において最も進化した種であり、銀河毎に管理者の有り様は容姿も考え方も違う。ある管理者は人型であり、ある管理者は液状生命体であり、またエネルギー体であったりと様々だ。各々の考え方も異なるので、ややもすれば、銀河間で争いが生じてもおかしくはない。


 だが、上位存在たる宇宙の管理者”head administrator(ヘッド アドミニストレータ:通称 ヘッド)”によって他の銀河への介入干渉は阻止されている。おかげで銀河間戦争のような争いは生じない。


 ある銀河……その名は”箱庭”……と地球が所属している銀河……こちらの名は”不干渉”……が近づき、双方のアドはお互いを知り、両銀河間に繋がりが生まれた。両銀河を繋ぐ道のためのぼんやりとした通路状の空間がお互いの間に生じた。その空間はお互いの距離が離れても繋がり続け維持されていた。


 ”箱庭”のアド……管理者と言っても、管轄銀河を管理する能力を有する種族の総称であり個人ではない……は、地球で亡くなった魂の中に別世界への転生を望む者が居ると偶然知った。


 娯楽に飢えていた”箱庭”のアドは、転生者を利用して楽しむことはできないかと考えた。そして、地球からの転生者を受け入れ、転生者に対して女神やその他の地球で想像された神のような姿でチート能力を与え、そして転生者の存在によって、”箱庭”にある世界がどう変わっていくかを観て楽しむことを考えつく。


 転生者が入り込んだ世界が大きく様変わりする様子を楽しみ、そして転生者がその世界の頂点に立ったとき、その転生者の持つ力を”逆転”というスキルでアドは変える。この逆転のスキルを有した上で進歩を遂げてきたからこそ、彼らは現在”箱庭”のアドとなり得た。

 ”箱庭”のアドは、頂点であった転生者を最底辺の能力しか持たない存在にする。そこで転生者にとって敵側であった者達に制される様子を見て楽しむのだ。


 銀河”不干渉”のアドは、”箱庭”のアドの行為を知っていたが、転生者の身に生じてる事象は自分が管理している銀河内のことではないと、その名の通り放置している。


 この世界への転生者は、”箱庭”のアドによって弄ばれている存在だった。

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