一発の銃弾


二千年前の戦争で

木に打ち込まれた一発の銃弾


木は二千年をかけて成長し、

銃弾を内側へ、内側へと取り込みながら、

年輪を外側へ、外側へと重ねていく


外側へ、外側へと木は年を重ね、

内側は少しずつ空洞になっていく

銃弾は少しずつ内側に進んでいく


ある日、

銃弾は二千年ぶりに顔を出す

空洞になった木の内壁から


そして、

銃弾はこそりと地面へと落下し、


人類の痕跡などとうに消え去った原野に

戦争は二千年後の終局を迎える

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

戦争詩集 宣戦布告 柾木 @masaki_y

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ