込みこみコミュニケイション

「zrxetcrfvgthbkjlkm;l:.;rdytuiiomo,pwsretfyvbn」


うわっぉ。人気のない道を通りかかったら、やたら筋骨隆々の外人に話しかけられちゃったよ。どうしよう。何の言語かすら分からない。


「え……えーと、あ、あいどんのう。アイハヴアハングオーバー、おーけー?」

「poomihgubyfv~tcsecyrjvu^yibmjng!! bujhtrhttyfgbn=llolbvyjucyrt1!!」


 やべえ、怒っているよ。こ、怖い。目がメッチャ怖い。逃げよう。


「しーゆーねくすたーい、ばーい」

「453x6vub78no9pu,jimhungybtvrctytubnim?! "#$%'&ubyrvfguniiml@p.@xaexrs?!!」


 え、何?! 腕掴んできたんだけれど。痛い。なんで? あっ、目怖いぃ。


「いだいぃ……。ハナシテーぷりーず。ぷりーずはんど…………あうと」

「……」


 ん? 少し緩んだ。これなら振り切って逃げられる!


「ちゃらばい! あっ……無理ですよねー?!」

「fbyfybuugnignfd6 6rcl0ssdd;y0d;sdgisd;ig;dsxysseset5xewwtffvgu!!!!!!!!!!!」


腕を固く握り直しちゃったよ。さらに、逃げようとしたのが駄目だったのか、猛り狂っていらっしゃるよ……。修羅の目だよもう……。

 くそう、ここまできたら仕方ない。言葉は通じなくても拳は通じるはず! 食らえにわか正拳突き!

 ぱしぃ……。駄目だ。利き手じゃない方のパンチだから(?)簡単に受け止められちゃったよ……。

 実力差は歴然。叫んで助けを呼んでも、これじゃ助けが来る前にぼろ雑巾よ。潔く負けを認め(?)許しを請おう。


「ゆあちゃんぴおん。すみませんでした」

「アキラメチャダメダ」


 ……日本語しゃべれんのかよ。てかなんでそんな哀れみの目で見てくんの? 普通お前に勝てないと駄目なの?

 特に抵抗もしないまま呆気に取られていると、外人は興味をなくしたのか去っていった。


「オマエソシツアッタ、アキラメル、ソレデ、ナクナッタ、カナシイ」


 そんな捨て台詞を吐いていった。なんだよこの喪失感。どっきりならさっさと看板出してくれよ……。


「い、いえーい!!!」


 去っていく外人に向け、苦し紛れにぐっと親指をたてた。やるせなさと謎の開放感で、どうやら頭がおかしくなったらしい。そのまま、外人の後姿をいつまでも見ていた。






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 未来からの二、三言。外人セリフはぐちゃぐちゃの線で再現不能。そして、僕が上野で似たような体験をすることを、この時の僕は知る由もなかった。

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