ほしくずさんは人気者
久しぶりに新しい金ペンを入手してからこちら、ペン需要的には満足した、落ち着いた状態が続きました。プーさん最高。
しかし、いつ我が身に起きるのかわからないのが出会いというもの。
去る七月。身を焼く暑さにでろんでろんと融解現象を起こしていた僕の脳が言いました。
「ぼくあたらしいまんねんひつほしいなー」
僕は答えました。
「じゃあかわいいやつさがそうかー」
脳みそが溶けるほど暑い日にはよくあることです。
突如として「ほしいなー」となり、「じゃあかうかー」ということになりました。全部夏が悪いよ夏が。
そうして手元にやってきたのが、セーラーさんちのプロカラー500シリーズ『ほしくず』さんです。お値段五千四百円ほどの鉄ペンになります。
僕にとってお安くはない買い物なのですが、夏のせいで自制が効きませんでした。夏のせいで。
『ほしくず』さんこと、ほし子の特徴は、その軸にあります。
素材は樹脂。夜空を思わせる深い濃紺色の地には、きらめく星々をイメージしたラメが散りばめられています。
こうしたデザインはややもするとチープになりがちですが、そこに工夫が光るのがほし子。
彼女のラメは表面上ではなく、内部に埋め込まれる形であしらわれています。しかも、全て均一に同じ層にあるのではなく、ある粒は表面近く、ある粒はやや奥と、配置がばらばら。
それによって、金銀青の無数のラメが、まるで本物の星空であるかのように輝くのです。
ネットで検索すれば写真がたくさん出てきますが、これはぜひとも実物を見ていただきたい。本当にきれいです。
見た目ばかり語りましたが、ほし子は書き味も非常に良いです。
まずインクフローはするする。そして、紙に滑らせた時の手触りはさらさらと、嫌な引っ掛かりをまるで感じません。いくらでも書けそう。
キャップはねじ式。僕はぱちっと外してささっと書けるのが好きなので、唯一そこだけが難点です。ちなみにこれまでご紹介したペンはプーさん以外全て引っ張って開ける式のキャップです。
ところで、このほし子。軸の美しさから非常に人気が高い万年筆だそうです。入荷しても即完売、取り寄せ注文をしてもしばらく待たされるとか。
だそうなのですが、僕はこの子、某密林さんで買いました。
某密林さんでは、いつ見ても在庫があります。届くのもすぐです。
基本的に万年筆は店頭で試し書きしてから買うものとはいえ、もしかして、界隈ではペンを通販で買うのは避けたいことなのでしょうか。
考えてみれば、万年筆はけして安い買い物ではありません。ほし子だって五千円以上はしますし。
そして、通販で買うとまず間違いなく、保証書がなにも保証してくれません。店印押してくれないところがほとんどですので。
それを考えると、割引がなくても、ちゃんとしたお店で案内を受けた上で買うのが一番いいかもしれません。
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