共依存フレンズ
佐藤.aka.平成懐古厨おじさん
共依存フレンズ
「アライさん、また、殺ってしまったねえ……」
「違うのだ!これはわざとじゃないのだ……」
アライグマの足元に、無数の虫の死体が転がっている。
「わざとじゃないって……アライさん、さっきから、ずっと虫を踏み潰してたじゃないか」
「うう……フェネック、見ていたのだぁ……」
アライグマは、最近他のフレンズと喧嘩してしまった。謝りたいのだが、なかなか素直になれず、「ごめんなさい」が言えない。その鬱憤を晴らすために、虫を殺していたのだった。
「アライさんが、こんなことしてるって知ったら、他のみんなはどう思うだろうね」
「フェネック! お願いなのだ! このことは、みんなには内緒にしておいてくれなのだ……こんなことしてたと知られたら、みんなに嫌われてしまうのだ!」
「分かってるよ、アライさん。私はアライさんのこと、理解してるからね」
「うう……フェネック……アライさんのことを理解してくれるのは、フェネックだけなのだぁ……」
フェネックは、目に涙を浮かべるアライグマの近くにやってくると、その頭を撫でた。
「アライさん、嫌なことがあったんだね……。でも、これからは弱い生き物に八つ当たりしちゃダメだよ?フレンズの世界には、けものはいても、のけものはいないんだから。困ったら、私に相談すればいいんだよー」
「うう、分かったのだ……」
「分かればよろしいよ、この死骸は私が片付けておくから、アライさんはみんなのとこに行きなよ」
「フェネック、ありがとうなのだ……」
そう言うと、アライグマは足早に去っていった。
アライさんは、ホント不器用だからねえ。他のみんなには、ガサツだけど強い子だと思われてるんだろうね。でも、本当のアライさんは、とても弱い子。彼女のことを理解してあげられるのは、私だけ。あの子は私なしじゃ、生きられない。
アライグマの後姿を見つめながら、そんな風に思う、フェネック。
「まあ、私もあの子なしじゃ、生きられないんだけどね」
一息ついた後、フェネックは一人そう、呟いた。
共依存フレンズ 佐藤.aka.平成懐古厨おじさん @kinzokugaeru
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