第3話
とりあえず生で
あ、2つ ビール飲めるよな?
駅近くのこじんまりとした居酒屋に2人は腰を下ろした。席に着くなり先輩はビールを2つ注文した。
ビールを注文してすぐにお通しのもずくが来た。その後すぐに飲み物が来た。
「お疲れ!かんぱーい」
先輩の元気な声が店内に響き渡った
よほど喉が渇いていたのか先輩のジョッキはすでに半分減っていた。
「いい飲みっぷりですね」
「だろー どうだ最近、仕事楽しいか?」
「まぁぼちぼちですね」
「ははっ まぁそんくらいがちょうどいいよ楽しすぎても嫌すぎてもあれだしな」
「あれですねw」
お酒も進んで軽く酔いが回った頃先輩は胸ポケットからタバコを取り出した
「先輩、タバコ吸うんですね なんか意外です」
「大学の頃から少しね 森下は吸わないの?」
「まえ少し吸ってました でもあんまハマらなかったですね」
「吸ってもいいことないからなー 吸っても大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
そう言って先輩は慣れた手つきでジッポで火をつけた。火が消えないように手で覆い隠した口元、下を向いた時の先輩の顔はいつも見てる可愛らしい表情とは裏腹にギャップを感じてしまった。
灰皿にタバコが溜まってきた頃
「おーーーいもーりーしーたー飲んでる?ねぇ飲んでる?あはははっ」
「先輩大丈夫ですか?飲んでますよ」
先輩はまだ3杯しか飲んでないのにだいぶ酔っ払ってしまった、お酒に強い自分はまだまだほろ酔いくらいだ。
「そろそろ出ますか?ちゃんと帰れるうちに」言葉が言い終わる前に先輩は僕の手を急に握ってきた
「大丈夫、今日は森下の家泊まるから~
一人暮らしって言ってたじゃんいいよねー?」
「いや、大丈夫ですけど いいんですか?
家で寝たほうが、」
「嫌なのか、、?」
「い、嫌じゃないですよ」
帰り道の先輩は千鳥足でベロベロだった、3杯しか飲んでないのに 本当に弱いんだな。
先輩の肩を持って歩いた帰り道、歩きながら寝そうになっている先輩を何度も起こして帰った。
「あーごめんなーもりもりーー迷惑だよなー」
「もりもりってなんすか 別に大丈夫ですよ」
「もうだいぶ楽になった、肩ありがとな。 飲み直すか」
「ま、まだ飲むんですか!?」
「嫌なのか、、」
なんで上目遣いなんですかね、この先輩は、少し可愛いと思ってしまうじゃないですか。
「はぁ、冷蔵庫にビールが何本か入ってるのでいいですよ」
「いえーい、飲むでーたくさん飲むでー」
「森下、ゲームしようぜジャンケンしてー負けたほうがグラスでビール飲んで今までの黒歴史とか話すやつ!」
「いいですね!やりましょう!てか、吐かないでくださいよ」
「大丈夫だ、問題ない」
そんな感じでお互いの恋愛話や恥ずかしかったことなどを話し合った。
「もりしたーー寝そうだなー おれはーもう眠い!」
「じゃあ次で最後にしましょう」
「そうだな」
さーいしょーはぐーーじゃーんけーーんぽん!
2人ともグーだ
「あぁぁぁーーうぉーー」
「ちょっと静かにしてくださいよ、もう夜の2時なんですから」
「んーーごめーんね」
あーーいこーでしょ!
最後に負けたのは先輩だった
「えーーい先輩の負けですよぶっちゃけてください!」
「そうだなーもう結構言ったしなー
あれにしようかなーいや、あれもあるな」
「結構あるじゃないですかw」
「決めた!実は、」
「じ、実は、、」
「俺、バイなんだね」
そう言って僕たち2人は固まってしまった。
自分の先輩への不思議な気持ちが何なのかわかった気がした。
たまに感じる先輩のギャップ、かっこよかったり可愛かったり、もし自分がそっちだったら叶わない事なのだともわかっていた。
でも、先輩の放った言葉は自分の気持ちを肯定させている気がして、気付いた時には涙が溢れそうになっていた。
昼間に綴られる愛 紡 @komornn
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