第2話

俺は元々この世界の人間だった。だけどとある理由であの世界に転移することになった。理由はまあ、おいおいわかるだろう。


「ようこそ勇者様方。私はコーラル王国王女のラウラ=コーラルと申します。そしていきなりこの世界に呼んでしまった事を深く謝罪させていただきます」


白いドレスを身に包んだラウラと言った少女は俺達に頭を下げた。

クラスメイトや先生は何が何だか分からないという顔で彼女を見ていた。まあ当然だろう。いきなり呼ばれて勇者とか言われているんだから。


「すみません。俺達を勇者と言ってここにいきなり呼んだのはどういう事ですか?」


ここでクラスのまとめ役で俺とは違い、優等生の富永明宏が王女に質問をした。

そして王女は顔を上げる。


「そうですね。では理由を話させていただきます」


王女の話をまとめるとこうだ。


この世界は人族と魔族の争いが絶えない。世界の平和を勝ち取るには魔族の王である魔王を倒す必要があるのだという。そして魔王を倒すのには強力な人材が必要。よって加護を受けられる別世界の人間を勇者として呼んだと言うのである。


(…結局、この世界は平和にはならなかったのか…)


俺は王女の話を聞いてこの世界に落胆していた。一体俺は何のためにあの世界に飛ばされたのだか。


「ふざけんなよ!」


「私達を元の世界に返してよ!」


王女の説明を受け、クラスメイトは王女に物申し始める。そうなることが分かっていたのか王女は何も動揺せず言葉を続ける。


「それに関しては問題ありません。魔王を倒せば元の世界に戻れるのですから」


さり気なくサイコな事を言い放ったな。魔王を倒せば?その間にこいつらが死んだらどうする。その責任を背負えるのか?


「みんな!やろう!確かにここにきた理由は許せないかもしれない。でもこの人達が困っているし、この世界を平和にしなければいけないんだ!だからやろう!」


優等生の富永はまとめ役らしくみんなを鼓舞した。


(…偽善者が)


この行為が大きな過ちを犯さなければいいがな。俺は彼の行動をみてそう思った。

富永の発言によってほかのクラスメイトもやろうと思い始めた。これが彼のカリスマ性というヤツなのかもな。


「覚悟も決まったようですので皆さんにはステータスを見てもらいます。今から渡されるカードには貴方がたの身体能力などが書かれています。それを確認したら私達も確認させていただきます」


王女の周りにいた騎士達がこっちに向かい、俺達にカードを渡した。


(ここら辺は変わらないようだな)


「悠、俺のステータスを見てくれよ」


俺は言われた通りに将生のステータスを見る。


【名前】高橋将生

【種族】人

【称号】勇者

【性別】男

【筋力】A+

【防御】B+

【魔力】B+

【俊敏】A


【スキル】

<索敵Lv.1>

相手の居場所を把握することが可能(相手の隠蔽Lv.がこちらと同じ、低くないと効果がない。

<物理耐性Lv.1>

相手から受ける物理攻撃の威力を弱める。


【ユニーク】

<剣聖>

剣、刀の扱いが上手くなり、攻撃力が大幅に上がる。

<勇者の加護>

ステータスの補正がかかる。


これはかなり高いんじゃないのか?先ほど王女が言うに何もしていない普通の市民のステータスはせいぜいEが限界らしい。


「いいんじゃないか?すごいと思うぞ」


「そうか?でも正直基準がわかりずらいよな」


俺達がそんな話をしていると向こうで大きな声が起こる。


「スゲーよ!富永のそのステータス!」


俺達も駆け寄り富永のステータスを見た。


【名前】富永明宏

【種族】人

【称号】勇者

【性別】男

【筋力】A+

【防御】A+

【魔力】S

【俊敏】A+


【スキル】

<上級魔法>


【ユニーク】

<鬼謀>

魔法に強力な補正がかかる。


<覚醒者>

一時的にステータスを引き上げる事が可能(現ステータスの3倍まで)


<勇者の加護>


富永のステータスは将生を大きく上回っていた。流石ともいうべきか。

富永のステータスにみんな驚いたあと王女がみんなのステータスを確認し始めた。

みんなが軒並みBを超えていく中、俺へと回る。


「では、ステータスを見させていただきます…!?どういう事ですか!?これは!?」



王女様は声を大きく出して驚き、それを聞いたクラスメイトも集まる。

そんな俺のステータスとは。


【名前】北条悠

【種族】人

【性別】男

【称号】

【筋力】D

【防御】E

【魔力】E

【俊敏】E

【スキル】

【ユニーク】



まさかの一般人に毛が生えた程度のステータス。スキルも何も持っていない上に勇者の称号すらない。


「…低っ」


「勇者の称号持ってないぞ」


クラスメイトが俺が思っていたことを口にしていた。


「悠…」


「悠くん…」


「…まあ、あなたのステータスはわかりました。まだこれからですので成長に期待します」


王女は咳払いをし、話を打ち切った。明らかに俺への態度が悪くなったがな。

俺は振り返りみんなの方に戻る。そしてみんなが俺の方を見ていなかった時、制服の内ポケットから白金のカードを取り出す。


(…これでいい)


【名前】北条悠(ブラウ)

【種族】魔神

【性別】男

【称号】〈神すら恐れる者〉〈世界を滅ぼせる者〉〈世界を見届ける者〉〈救世主〉

【筋力】SSS+

【防御】SSS+

【魔力】SSS+

【俊敏】SSS+


【スキル】

<隠蔽Lv.MAX><偽装Lv.MAX><索敵Lv.MAX><物理耐性Lv.MAX><魔法耐性Lv.MAX><状態異常無効><全属性魔法><超次元召喚魔法>


【ユニーク】

<魔神>

言わずもがな

<英智>

この世の全て、能力などを解析することが可能 <熾天使>

全ての魔法を司る。これにより究極魔法である <零魔法>最高位の<神級魔法><無詠唱>を取得できる。魔神なのになぜ天使なのとは突っ込んではいけない


流石英智の能力だ。少し変な言葉は入っているが問題ない。


(…やっぱりいつ見てもおかしいよなこのステータスは…)


俺は本来のステータスをみながらこれからの事を考え始めた。

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