文化祭
「文化祭は文化部の祭り!弓道部は運動部だから関係ない!」
山中先生は文化祭に対する偏見か何かでもあるのだろうか。部活開始早々にそう言いきった。実際、毎年文化祭の日と弓道の秋の県大会の日は被っている。顧問の山中先生は機械科の課長だから、文化祭の日を図らそうと思えばずらせる気がしているが…
正直、私としては弓道部はどちからといえば文化部よりな気がしているが、そこはどうでもいい。
「部活を休んで文化祭の準備をするやつは部活の内申点下げるからの!」
ここで工業高校において最強の切り札、内申点を脅しに使ってくる辺り本気なのが伝わる。
しかし、この言葉で全部員が放課後の文化祭の準備に参加せず、部活動に励んだかと言われればそうでもない。普段からそこまで真面目に部活をしていない人達、通称サボり組はそもそも下がるほどの部活動の内申点を貰っていないため無敵である。そもそも内申点を気にしていたら、まずサボり組になんてなっていない。
サボり組が文化祭の準備に流れた結果、レギュラーの練習量が増えるから、山中先生はレギュラーメンバーが文化祭の準備をするために部活を休まないよう、内申点をちらつかせたのでは無いかと予想している。
部活が終わった後に真面目に練習していた部員がダッシュで文化祭の準備に参加する辺り、その作戦は有効だったのかもしれない。
サボり組が練習に参加しなくなったからといって練習内容が変わるのかと言えばそうでもない。ただひたすらに的に向かって矢を放ち、悪いところを修正して体に覚えさせる作業だ。
文化祭当日、一般生徒にとっては楽しみにしていた祭りの日。弓道部レギュラーにとっては全国大会のかかった勝負の日を向かえる。
他の学校は大会を部員全員で応援する中、自分達はサブメンバー以外に応援する人はおらず、他の部員は弓道の大会のことなど忘れて文化祭を楽しんでいる。
なぜ文化祭の日と弓道大会の日を被せたのか本当に謎である。
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