体育祭2 部活動対抗リレー

部活動紹介が終わった後には部活動対抗リレーが待っている。

一応体育祭の種目ではあるが、おふざけリレーである。このリレーは5人の部活動の代表者がグラウンドを1周するのだが、特殊なルールがあり、

1.リレーの服装は自由

2.リレーに使用ゆるバトンは自由

というものだ。


体育祭前日…

「部活動対抗リレーだけど、誰か出たい人いる?」

「俺は別に出ても出んでもいいよー」

「俺は遠慮しとくわ」

「足早い人でいいんじゃね?」


おふざけリレー、されどリレー。足が早い人が出場することになった。選ばれた人も特に文句は無いようなので何となく足が早そうな人が抜擢された。


「で、服装は去年とかと一緒で袴でいいね?バトンは…弓道の的でいいか。」

「絶対走りにくいやん」

「でもその方が弓道っぽくて良くない?」


話し合いはトントン拍子に進んでいく。部活動対抗リレーよりも部活動紹介の方が大事なため、こちらに時間が避けないのもその要因の一つではあった。


リレーの練習をすることもなく当日を迎え、いよいよ部活動対抗リレーだ。

体育祭の他の競技のように殺伐とした雰囲気は無く、こけないようにお互い声をかけて合う程度だ。

他の部活動に目を向けると、ユニフォームを着てサッカーボールを持っている人に、作業着に段ボールの被り物をして手にドライバーを持っている人、フェンシングの防具を着てエペ(剣)を持っている人と様々だ。

正直ここだけ見るとハロウィン状態である。


『位置について、よーいスタート!』

この掛け声と共に各部活は自由にスタートする。

バトン代わりのサッカーボールを蹴りながら進む人、バスケットボールでドリブルしながら進む人、フェンシングの構えをしながら進む人と本当に自由である。

比較的まともに走る部活動の人達は全力である。弓道部も利き手で的を握りしめるように持ち、反対の手で袴をたくしあげるように持ち、走る。

別に順位を気にしていないが、やはり自分の部活を応援してしまうものである。


「がんばれー!」

「おい!もっと早く走れよ!」

「こけろー!」


……本当に応援なのだろうか。

ランナーが弓道部員の前を走る際に、手にバトン(的)を持った手で手を降ったときには


「お前なにこっち見てんだよ!」

「前向けや!」


と罵詈雑言のようなものが飛び交う。

1人走っている最中にこけそうになりはしたが、全員無事ケガをせずに走りきることができた。


「何でお前途中こっち見たんや!」

「え、だって応援めっちゃしてくれとったし。」

「誰もお前の応援なんかしてねーよ。」

「は?なんで応援してくれてないんや」


そんな会話がありつつも弓道部としての体育祭は終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る