落ち葉と焼き芋
だんだんと風が強くなり、落ち葉がだんだんと増えてきた。今では練習の前に落ち葉を一カ所にかき集めている。それはだんだんと増えていき、山のようになっていた。
「そろそろ落ち葉燃やさんといけんかのぉ。」
その山中先生の言葉を聞いたサボり組の目が光った。毎年落ち葉を燃やすのはサボり組なのだ。弓道をサボる口実ができ、温かい。秋はこれを楽しみに部活に来ていると言っても過言ではない。
「安川、サボり組のやつらにドラム缶出せって言っといてくれ。」
「はい。」
ドラム缶は切られており、その中に落ち葉を入れて燃やしている。サボり組は急いでドラム缶を出して落ち葉を中に入れる。するとガスバーナーを持って来た山中先生が火をつける。
練習が始まるとサボり組は火の周りに集まり、火が消えないように注意しながら暖をとる。
「は~、温ったけー。」
「お腹すいた…。」
「確かに…。芋だったら明日多分持って来れるで。」
「まじで!?」
「うん、文化祭用に自分らで学校に植えた芋があるよ。でも商品にならんようなサイズのものしか持ってこれんよ。」
「それでいいけ持ってきてや。」
「分かった。」
明日誰がアルミホイルを持って来るか、誰が芋を見張るかを部活が終わるまで話した。
サボり組は何をしに部活に来たのか…。
翌日、芋とアルミホイルがそろった。芋は大きいもので10㎝、小さいものは5㎝ほどだった。
「…思ったよりは多いいけど、思ったよりも小さいね。どうやってアルミホイルにくるむ?」
「何個かでまとめて包もうや。」
「ああ、その方が良さそうやね。」
そう言って芋をアルミホイルに包む作業を何人かでする。…弓道より真面目にやっている気がするのは気のせいだろうか。やがてアルミホイルに包む作業が終わる。
「よし、全部終わったね。じゃあドラム缶の中の落ち葉の山の中に入れて、芋を落ち葉で囲むように。」
「全部入れたら火はつけていいん?」
「うん。落ち葉に火がついてから1時間くらいたったら火から出して。」
「分かった。」
それから1時間後、焼き芋を取り出してアルミホイルを開く。そせて焼き芋を半分にする。芋の中心まで熱がきちんと通っていた。
「うん…うまい。」
「まじで?」
「あっ、うまっ!」
「これ小っちゃすぎて食べるところがない!」
いつの間にか休憩中のレギュラーも混ざって焼き芋を食べていた。焼き芋はとても好評だった。
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