合宿1日目 上

この学校の弓道部には2泊3日の合宿がある。もともとは弱小だった弓道部で、とある弓道部員が

「先生、他の学校のように僕達も合宿がしたいです。」

と言ったところ、先生が

(うちは弱いし、思い出に残るようなイベントとしてやってもいいかもな。)

と思い合宿が行われるようになった。今では学校の弓道場ではできないような入退場の仕方を新1年生に教え、2年生は自由に練習する場となっている。ちなみにサボり組は合宿に来ない。「4連休だ~。」と言って川に行ったりしている。4連休なのは合宿の次の日が休みだからだ。


「合宿か~。ホテルが楽しみやな~。」

「ん?旅館じゃないん?和室じゃん。」

「そうなん?ってゆうか旅館とホテルの違いって何?」

「和室か洋室かの違いじゃね?」


合宿の前日、水野と森崎がそんな話をしながら明日の準備をしていた。全員の弓や矢をまとめて明日すぐにバスに入れることが出来るようにしておく。バスの荷物入れに入れて持っていく物を準備した後、各自カバンに入れて持っていくものを持って帰る。



次の日、学校の正面玄関の前に集合をした。カバンを置き、弓道場から弓や矢を運び出す。そして学校の駐車場に止めてあるバスに乗せていく。全部乗せ終わると山中先生が聞いてきた。


「全部乗ったか?」

「はい、全部乗せ終わりました。」

「そうか、じゃあ全員バスに乗って。」

「「「はい。」」」


全員がバスに乗り始めると先生は運転席に乗る。バスは先生が運転するのだ。この合宿のためだけに昔大型バスの運転免許をとったらしい。合宿は学校のある市の外で行われる。高速道路に乗り、そこから2時間後に高速道路を降りる。そこから旅館に行かずに弓道場にへ直行する。


「よし、ついたどー。」

「やっとかー。」

「よく寝た~。」


バスから降りると全ての荷物を降ろして弓道場に挨拶をする。その後弓道場を掃除して準備し、すぐに準備体操を始める。準備体操を終えると1年生と2年生に分かれて練習を始める。1年生は山中先生がつきっきりで入退場や袴を着る練習を、2年生は自由に練習をし始める。しばらくすると1年生のいる場所から怒鳴り声が聞こえた。


『違う!そうじゃない!手は腰!』

『お前、出るのが遅い!』

『そこで礼!そこのお前、礼が浅い!』


「あー、去年俺らあんなことやりよったな~。」

「懐かしい-。」

「あれ地獄よね。」


12時になると休憩になり弁当とお茶が配られる。2年生は1年生に励ましたり、分からない所を教えたりする。そして1時になり再び練習が再開する。2年生は午前のように練習をしていた。


「今年の1年生は覚えが悪い!おい、2年生!1年生に入退場を教えといてくれ!」


そう言って山中先生は座って休み始めた。そこからは2年生が1年生に指導をし始める。4時30分頃に練習を終えて掃除や片づけを始めて5時に弓道場を出た。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る