伊坂工房
弓道部一の野生児、伊坂はものづくりが得意だ。無人島に残されても生き残れると思う弓道部員堂々の第一位である。
例えば
「あっ、最悪。矢が曲がったし。」
「矢が曲がった時それを直す道具なかったっけ?」
「さあ?俺は知らんよ。」
「ん~、じゃあ作ろ。」
そう言って本当に木を彫って作ってしまったのだ。ちなみに山中先生に聞くと道具箱の中にその道具はあった。でも自分が作った物も使えるので、自分専用の道具としてロッカーにしまった。矢が曲がることはほとんどないので使う機会があるのか分からないが…。
ある日、部活が終わった後に伊坂が何日か前に作った木刀に段ボールを巻いて何かを作っている。使っている段ボールやガムテープは弓道場にあったものだ。
「伊坂、何作りよるん?」
「ん?ああ、バット作りよる。」
「木刀のままでよくね?」
「木刀じゃああんまり遊べんじゃん?でもバットだったら遊べるで。」
「あ~、なるほどね。」
その日、伊坂は夜に一人弓道場でバット作りに励んだ。次の日になり、朝のたいそう前に平沼が伊坂に聞いた。
「バットどうなったん?」
「完全にできたよ。」
「おー、あ、結構固いね。」
「段ボールを何重にもしたけえね。」
「ふーん。」
ちなみにそのバットはサボり組が昼休みなどに野球をするのには使われるようになった。伊坂は作った物の後については自分が使わない限りあまり関心を持たない。
「あれ?これ何?」
平沼がそう言って手に持ったのはガムテープのしんの内側にろうのような物でキリンと、その反対側にゾウが作られていた。
「それは昨日うちの親が迎えに来るまでの空いた時間に作った。」
「いや、すげーな。お前。」
その日の部活後、平沼はまた何か弓道場で作業をしていた。
「お前、何しよん?」
それを見た国清が聞いたが持っている物を見ると納得した。伊坂は外にあった壊れた椅子を持っていた。
「あー、椅子直しよるんか。」
「んん、ガタガタするし足1個完全に外れとるけえね。」
そう言って伊坂はまた作業に戻った。しかし外れていた足は木が完全に折れていたので3本足にし、その折れた木で伊坂はゴム鉄砲を作って遊んだ。ちなみに3本足の椅子は1週間後にはなくなっており、かわりにその木でたくさんの玩具が作られたという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます