登山(下)

「よし、そろそろ移動するか。」

山中先生の声と共に部員が移動し始める。

「次はどこですか?」

「次は山頂いくぞ。」

「よっしゃ!」

最初に間違えて山頂に先に行き待っていた部員が我先にと走って山頂に向かって行った。

「元気じゃのう。」

山中先生がその姿を見てぽつりと言った。


 山頂には山の名前と高度の書かれた古い木の看板が立っているだけだった。手入れされている場所はとても狭かった。古い木の看板を中心にカメラで2,3枚の写真を撮るとすぐに下山を始める。しかし登って来たルートとは違うルートで下山した。道全体が落ち葉で覆い尽くされていてとても滑りやすく、危なかったが、それを承知の上で彼らは先生に次の目的地を聞き、誰が一番にそこにたどり着くか競走をはじめた。ちなみに優勝は国清だった。


 次の目的地は巨大な反射鏡だった。電波を反射しているのだと説明の書いてある看板に書いてあった。そこでまた記念写真を何枚か撮ると次の目的地は学校だと言った。いよいよ帰るのだと思うと、また伊坂が暴走を始めた。わざとゆっくりと降り、先生が見えなくなると近くの複数人の部員に話しかけた。

「あっちの方から帰ってみん?」

分かれ道があり、先生が曲がった方向とは別の道を指さしてそう言った。すると話しかけた全員がノリノリでそれに参画した。

「よっしゃ、伊坂探検隊行くぞ!」

「「「おー!」」」

道は見た感覚だとかなりの遠回りで急ぐ必要があると判断し、常にダッシュで探検は行われた。しかしなかなか下り坂はなく、やっと見つけたのは普通人が通らないような道だった。

「ちょっと待って、これ絶対道じゃないだろーーー!」

見つけた坂道は落ち葉で覆い尽くされており滑りやすく、さらにその坂道自体も斜めに傾いていた。もし落ちたなら大きなな怪我は避けられない高さだった。そんな危ない道をずっと全員で爆走しているとやがて人の手入れの行き届いた道を見つけた。さらにその付近で石垣の上に作られた畑で作業する人影を見つけたときは思わずはさわいでしまった。

「すいません、ここから山を降りるにはどの道を通ればよいですか?」

「だったらすぐそこのあの道を真っすぐ行けばたどり着く。」

「ありがとうございます。」

「高校生?」

「はい、それではもう行きますので。」


 山から完全に降りると学校から少し離れた場所に着いた。そこからさらにダッシュで弓道に行った。弓道場にはまだ誰もいなく、とても静かだった。

「なんとか大丈夫だったな。」

「超疲れた…。」

弓道場に全員で横になると休憩を始める。5分程たつとほとんど疲れはとれたのでスマホでゲームを始めた。その30分後、ようやく

1人帰ってきた。

「先生らもうすぐ来る?」

「いや、まだまだ後ろにおるよ。それより早くね?」

「30分くらい前にはここにおったよ。」

「まじか。」


その約15分後に先生達は帰って来て、そのまま今日の練習は終わった。その日自主練をする人はかなり少なかったという。

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