閑話休題:桐島家

「ねえヒロ。昨日見つけた女の子ってどんな子なの?」


 長男のカイと弟分のヒロが昨夜見つけた少女のことは、桐島家の動物たちの間でも話題になっていた。好奇心旺盛なミケはヒロを質問攻めにしていた。

「どんなっていうと、すごく疲れてる感じだったよ」

「それは分かってるわよ。なにか変なところはなかったか聞いてるの」

「変なところ?」

 ヒロは首をかしげる。

「そうよ。すごく変な場所から出てきたわけでしょう? きっと何か訳ありよ」

「うーん。迷子じゃないかなあ」


 すると2匹の会話に、2羽の小鳥が加わった。

「ホームレスってやつかもよ! 神社に住んでたのかも」

「それはあり得るね。ぼくらみたいに素敵な家がないのかもしれない」

 セキセイインコたちのやりとりにヒロは悲しげな顔を浮かべる。

「かわいそうだね。あの子には帰る場所がないのかな?」

「その神社じゃない?」

 青いセキセイインコ、アオの一言にヒロはうなだれる。

「でも、あそこにはご飯もなさそうだったし、すごく寂しそうな場所だったよ」


 落ち込むヒロの様子を見、動物たちは顔を見合わせた。年長者のミケがなぐさめる。

「大丈夫よ。いざとなったらカイちゃんに頼んでうちに来てもらえばいいじゃない」

 ミケの提案に、ヒロはパッと顔を輝かせた。

「そうだね! そうしよう!」


 こうして、カイは帰宅早々突拍子もないお願いをされることになる。


 しかしそれは、動物たちがカイに頼むまでもないことだった。

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