僕を呼ぶ声

 誰かが、僕を呼ぶ声がした。

「どうした?」

「……いや、気のせいさ」

 僕はかぶりを振る。

 そうだ、今はそんな場合じゃない。

 僕らは長い冒険の末、ついに魔王の城にたどり着いたんだ。

「いいか。魔王の時間停止魔法には気をつけろよ」

 いつも冷静な魔法使い、アスフェル。

「どんな奴だろうと、俺がぶっ飛ばしてやるぜ!」

 頼りになる戦士、ケリガン。

「これが終わったら、みんなでお酒を飲もう!」

 ムードメーカーの僧侶、潤太郎。

『よし、行くぞ!』

 僕たちは駆け出した。

「せんせ~い」

 魔王の待つ、地獄の底へ。

「岡田せんせ~い」

 世界の未来を担う戦いへ。

「先生ってばぁ! 返事して下さいよ! 居るの分かってんですからね! どうせまたネトゲやってんでしょ! 締め切り今日までですよ! これ落としたら、3週連続です、連載打ち切られちゃいますよ!」

 聞こえない。

 今はそんな場合じゃないのだ。

 僕を呼ぶ声がする。

『行きましょう、LOVE☆ベリー大統領!』

「おう!」 

 いざ、魔王の城へ!

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