爆発するリア充
流れ星を見たときに、3回願い事をすると、その願いが叶うという。
ある夜、私は流れ星を見た。
だから叫んだ。
「リア充爆発しろ! リア充爆発しろ! リア充爆発しろぉぉぉぉぉ!!!」
その日以来、リア充は爆発するようになってしまった。
リア充=リアルが充実。
現実に充実を感じた者は、爆発してしまう。そのことに気づいた人々は、やがて楽しむことを放棄した。結婚制度が消滅し、いっさいの娯楽が禁止され、美しく着飾ることも、食べ物に味をつけることも無くなった。
しかし。
それでも人は、幸せを求め続けた。
ある者は、心から愛する人を見つけて。
ある者は、長年の夢を叶えて。
次々に爆発していった。
登山家はエベレストの山頂で爆発し、農家は作物を出荷したあとで爆発し、政治家は賄賂をもらった瞬間に爆発した。トンネルが開通した途端、そこにいた全員が爆発した工事現場もあった。
レスバトルに勝利して爆発したニート。
ダイエットに成功して爆発した女性。
河原で殴り合い、ダブルノックダウンでその場に倒れ、一緒に夕日を見ながら爆発した不良。
ある男は小説を書き上げたときに爆発し、その親はその小説を密かに公開して爆発し、その小説を読んだ人は読み終えてすぐ爆発した。警察は犯人を逮捕したときに爆発し、犯人はそのおかげで逃げられると喜んだときに爆発した。
「ありがとう」。ボカーン。
「よくやった」。ドカーン。
「愛してる」。ボカンドカーン。
世界中の人々は、みんな爆発してしまった。
ただ1人、私を残して。
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