愛してる
「愛してるよ」
「愛してる」
「君も僕を愛してるかい?」
「愛してる」
「1年前の今日。僕らは出会ったんだ。薄桃色のドレスを着た君は、まるで妖精だった。僕らはすぐに恋に落ちて、この部屋で初めての夜を過ごしたね。朝日の中で抱き合って、僕は君に言った」
「愛してる」
「楽しかったよね。クリスマスも、誕生日もこの部屋で過ごしたんだ。手づくりのケーキ。部屋いっぱいの花。サプライズプレゼント。君はいつだって演出上手だった。最高のキスをしたあとで、君は僕に言ったよね」
「愛してる」
「プロポーズも、この部屋で」
「愛してる」
「君の誕生石の指輪を渡して」
「愛してる」
「耳元でささやくつもりだったんだ」
「ギー! ギー!」
バサバサバサ。
男は小さな箱を持ったまま、1人うなだれた。目の前には鳥かご。
「どうして行ってしまったんだ……。オウムがそれしか覚えないほどに、僕らは、あんなに……」
「愛してる! 愛してる! 愛してる!」
バサバサバサ。
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