第59回 シェアサイクルが失敗する最大の理由。

 フランスではシェアサイクルのサービス終了が始まっているようです。

 モーダルシフトとして欧州は自転車に対して異様に注目され始めたのですが、案の定、モーダルシフトは見事に失敗しました。

 高い鉄道運賃と高い都市部の車の維持費で欧州の都市部は自動車・公共交通機関離れが一気に進み、自転車に移行するいわゆるサイクルシフトが異様に起きました。

 欧州に限った事ではないですが、サイクルシフトは何故、失敗するのか?

 それは自転車乗りのマナーが何処の国でも非常に悪い事、自転車のマナー定義が非常に曖昧が挙げられるからです。

 そして格差や高い鉄道運賃、及び混雑率の高さがそれを引き金になって起きてゆきます。

 これまでも英国とドイツの鉄道事情を批判してきたのはモーダルシフトに失敗し、サイクルシフトになった英独の怠慢や、足蹴車キックスケーターの導入が出来ない理由など、様々でしたが、シェアサイクルの失敗が自転車原理主義の終わりの始まりといっても良いと思います。

 自転車は公共交通機関を破壊する乗り物だと何度も述べましたが、欧州の都市部ではシェアサイクルが失敗しました。

 しかし、シェアサイクルが失敗しても自動車や公共交通機関に戻る客は殆どいません。

 これを考えてゆく事にしましょう。


 モーダルシフトとサイクルシフトの違いは以下の通りになります。

 1.モーダルシフトというのは自動車から公共交通機関などの転換を進める政策。

 2.対して、サイクルシフトは自動車や公共交通機関から自転車に転換させる政策。

 つまり、この時点で自転車が公共交通機関すらなく、自転車乗りは異常な権利主義をほざいていますが、自転車モーダルシフトの対象外です。

 何故なら、自転車は軽車両だし、公共交通機関として不適切な乗り方をする人が多く、自転車のマナーが原因でパリやロンドンの渋滞を招いてしまった事例が存在するからです。

 なので、シェアサイクルは自動車や公共交通機関より手軽に乗れる自転車に繋がってしまうので私は反対でした。

 又、シェアサイクルが失敗した理由としては乗り捨て歓迎という面も非常に大きいと言えます。

 何故なら、乗り捨て歓迎すると自転車が何処でも乗り捨てられる状況を生み出し、事故や風紀を乱す要因になるので、結果的にシェアサイクルが問題になるのは必然になり、自転車の印象がガタ落ちします。

 シェアサイクルを放置すると公共交通機関の利用率が極端に落ちるので都市部での公共交通機関離れが顕著となり、結果的に都市部の買い物難民を多く生み出してしまいます。

 なので、フランスでシェアサイクルのサービスが終了した事はフランスが本格的なモーダルシフトに転換する予兆だと思います。

 モーダルシフトは自動車・自転車から公共交通機関に転換する政策であり、自転車は寧ろ利用させない様にする政策です。

 なので、自転車は都市部で課金する体制を整えば、自転車利用は下がると思います。


 サイクルロードプライシングが効果的な理由もそこにあると言えます。

 サイクルロードプライシングは、その地域の自転車を通行する際には課金を取らせる制度の事。

 都市部なら自動車より自転車の方が効果的。


 故にこれからシェアサイクルを始めようとする自治体はシェアサイクルの負の面について議論すべきであり、自転車で鉄道利用を落とす危険性を知り、それを納得させる様に述べなくてはならないのです。

 シェアサイクルの時代は既に終わったと思います。

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