第309話 第二章前置きは、お仕事! お仕事? (1)

「みなさん~。今日も頑張りましょう~」と。


 我が家の筆頭妃ことシルフィーが、会社の事務所、社員の人達。オジサン達へと威風堂々と朝の挨拶を終え告げればね。


「「「あ~い」」」


「「「は~い」」」


「「「社長~」」」


「姫様~」


「主さま~」


「「「頑張ります~」」と。


 家の会社に長くから勤めているおじさん達各自各々が自身の顔を緩め、鼻の下を長くしながら、締まりのない顔と声色で、金髪碧眼、縦ロールの天下無敵……。夫の僕に対して傍若無人な振る舞いをする人魚姫の一角である我が社の社長シルフィーヌへと言葉を嬉しそうに返すのだ。


 家の奥さまが、余りにも麗しく、美しい。まさに黙ってさえいれば、天界の美や豊穣の女神さま達と見比べても甲乙つけがたいのではと、夫の僕が思うほど美しいシルフィーヌだから嬉しそうに言葉を返す姿を僕は凝視しながら。


(男、男って奴は)と、一人脳内で呟けば直ぐに、ジロリと熱い視線……ではないようだね。


 僕の、夫である僕の想い。考えが瞬時にわかる。理解できる。恐ろしい嫁のシルフィーヌだから、直ぐに不満、不快感を募らせた顔をするから怖い。怖いのだ。


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