第308話 伝説、怪奇な話しは夢物語ではなく、現実にあったのだ!(12)
僕の生気、精気もここまでか? ここまで吸い取る。吸い尽くすのか? お前達は? と、荒々しく問いたいと、いうか? 問えることなど恐れおおくて言えない。告げることができないから。
「シルフィーヌもおいで」と。
僕は手招きしながら不機嫌極まりない顔をしている妃を誘う。
「抱っこしてあげるから。おいで。シルフィーヌ」と。
優しい声音と笑顔、そして『おいで! おいで!』の手招きしながら誘えば。
「フン!」と、鼻息荒くしながら。僕のお妃さまは。
「致し方がないですね」と。
呆れた声色を漏らしながら。僕の方へと向かってきたのだが。『致し方がない』と、呆れた声色で台詞を漏らしたい。呟きたい。嘆きたいのは僕だからね。脳裏でこんなことを呟けば、僕と人魚姫は以心伝心だから。まあ、お約束の如く。この後僕の口からは。
「うぎゃ、あああっ!」、
「痛い! 痛いよ!」、
「許してシルフィーヌ! 亜紀ちゃん!」と。
また僕の悲痛な叫び、絶叫が、この部屋から懲りもしないで響き渡り続けるのだったと、言うことで、埋蔵金レベルの財宝はやはりいわくつき、物の怪がついている可能性が大だから。皆も取り扱いには注意して欲しい。
◇◇◇◇◇
(第1章完)
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