第301話 伝説、怪奇な話しは夢物語ではなく、現実にあったのだ!(5)
だって彼女、と言えば怒られる。叱られるから妻だと言い直すけれど、亜紀ちゃんが僕の方を鬼、般若面のような、恐ろしい顔で睨みつけてくるのだ。
『ハァ~! あなたは~! 新太は~! 本当に懲りない男! 気の多いい男ですね! そんなにあなたは~! 私に殺されたい! 殺傷されたいの?』とでも。不満を言いたい顔。嫉妬心をあらわにした表情で、夫の僕を憤慨しながら睨んでくるので。
「ど、どうかしたの、亜紀ちゃん?」と。
僕は動揺を隠せない表情。己の顔色を変えながら。しどろもどろで亜紀ちゃんへと問いかけてみたのだ。
「新太さん……。いや、あなた?」と。
亜紀ちゃんが僕へと、わざわざ呼び方を言い直しながら言葉を返してきたので僕は更に『タラリ』と、亜紀ちゃんに。妻に怯え、震え慄きながら。
「ん? どうしたのかな、亜紀ちゃん?」と、言葉を返すと。
「あなた~。そんなお金は何処にあるのですか?」と。
亜紀ちゃんは夫である僕へと、相変わらず冷めたい目と口調で、サラリとこんな台詞を告げてきたのだよ。
そう、僕の背にいる二人、ラフィーネさんとキヨミさんの御二人にパンツスーツのプレゼントを購入するお金は何処にあるのかと、問いかけてくるから。
「僕の銀行の通帳の中に未だ。今月の分の給料が残っていると思うから。それで御二人にプレゼントをしようかと思うのだけれど」と、亜紀ちゃんに説明をすれば。
「あなたは家に、家庭に生活費を入れないつもりなのですか?」
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