第296話 もう一人の人魚姫……(33)

 そう、キヨミと玉、花と順序良く見詰めながら、己の首を傾げ。傾げながら目で合図。お互いが相打ちを打ちながら。この場にいる四人でクローゼットの部屋へと向かう。向かうのだった。


「えっ? あっ、はい…さんてん。そんな事情があるなら姫様の指示にしたがいます……」と。


 亜紀さんの言葉、台詞が聞こえる。聞こえてきたから。『何だろう?』と、思いながら部屋へと向かう。向かえばね。


「前途多難だね……」と。


 主様、御方様の声がしました。


 だから三人で何か、密談をしていたのか? と、思いながら更に、私はクローゼットの部屋へと向かうと。


「でも、大丈夫だよ。シルフィーヌ。伝説の勇者である僕と亜紀ちゃんがこの本家にきたのだから。君とラフィーネさんは、僕と亜紀ちゃんが守るから心配しなで……。ねぇ、シルフィーヌ」と。


「……だよね、亜紀ちゃん?」と。


 我が一族の新たな主人の心強い言葉と台詞。決意が聞こえたので、『もしかすると?』と、思う私なので御座いました。



 ◇◇◇◇◇

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