第295話 もう一人の人魚姫……(32)

 私達姉妹と一族の者達が、心許せる家臣が他にはいない。他貴族や商人達の監視下に置かれている悲痛、悲惨な状態が我が家ですから。実際御方様自身も、この没落しかけている我が家に婿入りをすることなどしないで、亜紀さんと二人で、我が家に関わる事なく。二人安息の地で暮らし方が、良いと思うのですが。と、シルフィーヌの姉である私は思うのですが。と、ふとまた思案をしてみたら。


 御二人は一体何処? 何処から、この部屋、このお城へと入ってきたのでしょうか? 私自身も余りに急な事。慌ただしいことが急に、一気に、勢い良くきたので、すっかり忘れていた。いたのですが……。


 それに? 先程御方様が、姫様のクローゼットの部屋で何かを見て驚愕をしていたようなのですが?


 御方様の妃だと思われる亜紀さんが、度々嫉妬をあらわにして大騒ぎをするからすっかり忘れていましたよ。と、私自身が己の脳裏で独り言と、思案をしていると、姫様と亜紀さんが睨み合いをしているのかな? 急にクローゼットの部屋にいる三人の様子がシーンと静まり返り。三人に口論、夫婦喧嘩が沈黙をしたので、私自身も『どうしたのだろうか?』と、思いながら辺り……。


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