第294話 もう一人の人魚姫……(31)

 だけど、我が家の主。今後の奥を取り締まる。取り仕切る。影の支配者となる姫様は、亜紀さんの絶叫! 不満! 嘆きを聞いても、全く動じず。動じない様子で。


「キョミは、今まで当家の為に、里に帰ることもしないで、当家に仕え、良く尽くしてくれています。今の現時点でも……。そんな彼女を今更いらぬから、我が家へと使えるのをやめて、他所の貴族の家で忠義を尽くすとか? 里に帰って家の手伝いをしてみてはどうか? と、告げることはできませんし。亜紀! 貴女が産まれた世界、国でも、奉公、家の為に尽くすとは、そんな感じではないですか?」と。


 亜紀さんに対して、姫様は凛とした姿勢と威厳のある態度で、説明をしたのだが。私の御方様が、別にキヨミに対して御手付き、邪な行為を振るわなければ問題がないような気がしますが?



 う~ん、それでも、我が家の姫様は、御方様が、遅かれ早かれ、キヨミに夜這いをかけて、オスとしての性を成就するといった主従関係になると言っているのですが。


 う~ん、それならば、キヨミでなくて、もっと若い年頃の玉や花に対して御手付きをしそうな気がしますが? と、私が思案をしたところで、姫様の言う通り。言われる通りで、婚期を逃しているキヨミを今更、何処へも出す訳にもいきませんし。私自身も、何だかんだと言っても、己の気を許せる家臣、臣下のキヨミですから。姫様の言われる通りで、今更キヨミが、この家からいなくなっても困る。困るのだ。


 特に我がダィンドー家は、信用できる臣下がこの場にいる者達だけだと言う没落貴族、伯爵家で御座いますから。キヨミがこの家から出ていかれるのは、本当に痛いし、困るのだ。




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