第292話 もう一人の人魚姫……(29)

 今度は花が、このような台詞を告げてきた。漏らしてきたから。


『はぁ、何? 意味解らない?』と、私自身が思っていると。


「はぁ~、煩い! 煩いですね! 花は!」と。


「先程のラフィーネ様ではないですが、私が花。貴方の事を折檻して差し上げましょうか?」と迄告げるのだ。


 自身の顔の眉間に皴を寄せながら怪訝な表情でキヨミは花へと、荒々しい口調で不満を漏らすのだ。


「……ん? どう言うことニャン? 花とキヨミさん……。玉には何でキヨミさんが、花に対して憤怒、怒りをあらわにしているのか、わからない。わからない。ニャン」と。


 玉も私と一緒で、キヨミと花の会話の内容が分らない。理解が出来ないようなのだよ。


 だって彼女も、自分自身の首を傾げながら、キヨミと花に問いかけているようですから。


「……ん? 玉に~。わかる、わからないも、何も~。キヨミさんは、このダィンドー家に永久就職、奉公をして尽くすと決めた。決意をしたみたいだから。御方さまの側女、妾になると決意したみたい。みたいだから。ラフィーネさまと同じで行き遅れにならずにすんだ。だから良かったですねと花は、キヨミさんにお祝いの言葉、祝辞を述べただけですよ……」と





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