第290話 もう一人の人魚姫……(27)
「た、確かに。確かにそうですけれど……」
私の妹であるシルフィーヌの回答、言葉に対して、亜紀と言う名前の女性は、未だ少しばかり納得できない。できないと言った様子のようだ。
だから私は、そんな彼女、亜紀さんの様子は、私の今居る場所、立ち位置からは凝視することは出来ません。叶いませんが。多分、亜紀さんの声色からすると。もしかして? 私の御方様の元々彼女、妻、妃は、シルフィーヌ。家の姫様ではなく彼女、亜紀さんだったのかも知れない? 知れないですね?
まあ、あくまでも、私の女の勘と言う奴での説明ですから。余り当てにはなりませんが。
「ラフィーネさま?」
「ん? 何ですか、玉?」
「あの、亜紀と言う名の女性も、人魚の一族、姫さまのようだけどニャン。今迄玉自身聞いたことのない名前の女性だけれどニャン。今迄何処にいた。住まれていたの、ニャン。あの、亜紀と言う名の人魚の姫さんはニャン?」と。
私が姫様と亜紀と呼ばれている女性。二人の会話を聞きながら色々と思案をしていると。私の横に立つ玉がこんな事を聞き、尋ねてきたので。
「えぇ~と? そ、それはですね……」と。
玉に言葉を返して、回答、返答。何て玉に説明をすればいいだろうか? と、私は思いながらいると。
「あっち、向こうに住んでいたのですよ。亜紀と新太。家のひとは……」
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