第289話 もう一人の人魚姫……(26)

「あ、亜紀ちゃん。ぼ、僕に聞いても、問いかけても知らないよ。このことはと、言うか? 結婚、婚姻のことは、僕が決めた訳ではなくシルフィーヌだから。僕に尋ねるのではなくて、シルフィーヌに尋ねてよ。亜紀ちゃん……」と。


 私の御方さまが、亜紀さんと申す女性へと告げ、説明をすれば。


「ひ、姫様。どう言う事? 事なのですか?」と。


 今度は、と言うか、また私の妹へと悲痛な声色で問いかけ始めるのだ。


 でも、私の妹であり。我が一族の女、人魚の女性達を、今後纏めていくシルフィーヌ。姫様はね。やはり、こんな台詞しか、彼女に告げないのだ。


「先程も亜紀には、説明をした筈ですよ。私(わたくし)達の主、夫……。そして、このお城、城郭の主になる新太は、未婚の人魚の娘、女達の主になるのだと。だから亜紀が、新太の妻、妃になることに対して、私(わたくし)が反対をしましたか? 亜紀? 直ぐに貴女と新太の結婚、婚姻に対して許可をした。だしたはずですよ。私(わたくし)は……」と。


 我が妹、シルフィーヌは、不満と嘆きを漏らす、亜紀さんへと、ダインド―家、人魚の女達を束ねる者として、凛とした威厳のある声色で。亜紀さんへと説明をするし。彼女自身も納得をした筈だと告げる。




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