第272話 もう一人の人魚姫……(9)

 こんなこと……。


 そう、お金、給金の未払いの事、件を、私に告げ問われても困る。困るのだ。


 だって、私自身は、この家、ダインドー家に、名を連ねる者であることは間違いはない。ないのだ。領地経営、資産、運営の方は、家、このダインドー家は、姫様がみな、全部管理しているから。武ばかりを担当している者である私には解らない。ないから。どう、キヨミ達他二名……だけではないのだよ。


 この家、領内を守護、守備、守る諸将、連隊長や班長、一般兵にも給金が支払われていない。いない状態だから。この人魚の里、領内、海、川、島々を守る。守護する諸将と兵達の士気は、大変に低く。もしも? 外敵、他の領主や海賊、川賊、山賊、盗賊と襲われれば、大変に危うい。立場、領内なのです。このダインドー伯爵家の領内はね。だから先程私が姫さは、悪しき者、狼藉者達などに連れ去られたのではないか? と思い。危惧した訳なのですが。


「はぁ~」と溜息。『さてさて、どうしたものか? どうするかな?』と、脳裏で思う。私なのですが。取り敢えず、キヨミには姫さまが帰宅をされたら訊ねればいいと告げることしかできないので。キヨミ達には、そう告げ、説明をする事にします。


 だから私は、不満のある顔をしているキヨミへと視線を変えると。


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