第264話 もう一人の人魚姫……(1)
「姫様を探せ~!」、
「探すのだ~! 皆~!」と。
「皆~! 今直ぐに~!」を付け加えて。
「城の隅々、草の根分けても~。姫様を探せ~。今直ぐにだぁあああ~」と、下知──。
それも、大変に荒々しく。大変に大きな声、声量、声音で叫び下知を下す。下すのだ。
私自身も姫様の部屋、寝室、クローゼット等、部屋の隅々、ベッドの下まで覗き込みながら。
「お~い。姫様~。何処~? 何処ですか~?」と。
姫様の姿も無い。無い場所で、我が一族の当主である。シルフィーヌ姫様を呼ぶものだが。
「ラフィーネ様、な、何をなされているのですか?」と。
己の家臣、臣下の者から動揺、困惑をした表情で尋ねる。問われる。この領内……。人魚の里の近衛隊長であり。人魚の姫様から軍事行動に関わる権利を代行し。預かる。将軍でもある私は、正直恥ずかしい。恥ずかしいのだと思っていると。
「ラフィーネさまは、お茶目だから。慌てふためきながら姫様を探索している玉達の気を紛らわせようとしているだけニャン~。キヨミはそれがわからない。わからないからいけないニャン~」と。
己の家臣、近衛隊の隊員でもあり。姫様の御付き人、世話係り。メイドをしている玉が『ケラケラ』苦笑を浮かべ、漏らしながら言葉、台詞を漏らせば。
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