第261話 二人の人魚姫はお怒りのようです……(27)

 シルフィーヌは説明をしてくれた。


 だから「そうなの?」と、答える僕と、「それは知らなかった……。知りませんでした……」と、亜紀ちゃんが驚嘆を漏らしながらシルフィーヌへと言葉を返す。でっ、返す亜紀ちゃんの顔色、様子を、僕は凝視してみると。先程迄の僕に対して恐ろしい形相しながら睨んでいる。いた亜紀ちゃんではなくて、いつもの彼女……。



 そう、僕に対していつも大変に優しく労いながら接してくれる和製人魚姫へと変化──。と、いうか? 戻ってくれたから僕は『ホッ』して安堵。『いつもの亜紀ちゃん。僕の亜紀ちゃんに戻ったから。よかった。よかったよ~』と、思うのだ。


 でっ、僕の心の中を覗く。読むことができる家の奥さまと言うと?


 こんな様子の僕のことなど、この度は放置。素知らぬ振りをしながら。


「ええ、そうですよ~。亜紀さん~」と、言葉を返す。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る