第92話 人魚の姫さま日本に! (5)
だって私(わたくし)の面前にあつた黒い影は人……。人の容姿をした者なのですよ。
それが、と、いうか?
その者の亡骸が、この変わった建物天井から力無く手足が垂れ下がり宙ぶらりんと揺れながら浮遊している状態って……。
「きゃ、あああ~!」、「おえ、おえ、」と。宙に浮いている者の顔……。
その者の顔に明かりを照らして見てみると、何とも恐ろしいと、いうか? 悲痛、悲惨、己の顔を苦痛の余り歪ませた醜い表情で、ではなく。しているのですよ。私(わたくし)の面前で揺れている男性の亡骸はね。余程痛く、辛く、苦しんだのでしょう。己の首にロープを巻いて、自らの命を絶つことがね。と、私(わたくし)自身が思えば?
そう言えば以前? 私(わたくし)の重臣であるラフィーネやその他の重臣達や、あの者達……。
まあ、余り名や顔を思い出したくはないですが。美しい私(わたくし)を囲い玩具にしている子爵達や商人達などから聞いた話では。国王、領主達の意に反する行為をした謀反人達を罰し、処刑する時等に首吊りの刑を使用することもあるとは告げていましたが。刑に遭った者は、こんな酷い。惨い。悲惨な醜い表情へと移り代わるのですね、だけではなくて。私(わたくし)が先程宙に浮かび揺れている男性の亡骸を凝視して嘔吐したのは? 男性の亡骸から出る物が全部……。
そう、出血だけではなくて、生ある者達が食事をして出す排泄物も全部出ている。垂れ流し状態で……。
この場、この変わった建物から大変に酷い悪臭が漂っている状態なのです。
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