第90話 人魚の姫さま日本に! (3)

 そう、一安心、一安心……。私(わたくし)の御自慢! 御立派なこのドレスの大きく開いた胸元からも見える乳房の谷間──胸を撫でおろすのですよ。


 と、なれば?


 さぁ~て? さてさて~? ザワザワと微かな音──。作業音や足音などが聞こえた方へと己のこのか弱いすらりと伸びた足先を、音がした方へと向けて、突き進んでいきますね。



 ◇◇◇◇◇



「えぇ~と? この辺の筈……?」と。


 声を呟き、漏らす、私(わたくし)なのですが。


 う~ん、さてさて、この辺りの筈なのですよ。僅かな音が聞こえた場所はね。


 だから私(わたくし)は、この漆黒に染まった暗闇の中を、己の目を大きく見開き──。自身の持つ、あの者達……。




 この美しいマーメイドの姫であるシルフィーヌを囲う。有力な貴族や商人達が、いつも私(わたくし)の瞳を見ては、『美しい~』、『美しい~』、『まるで? 海洋の輝きのように美しい宝石のような碧眼の瞳だぁ~』と。彼等、あのひと、者達が褒め称える。私(わたくし)の碧眼で、辺りを見渡してみます。『ジロジロ』と、注意深く。どれどれ? と、言った様子で、己の指先の明かりを灯しながら確認──。


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