第79話 伝説の勇者? 白馬の王子様?(1)

「う~ん、う~ん」何か良い手が……と、言葉を漏らし、思う私(わたくし)で御座いますよ。


 まあ、壁に耳ありでは御座いませんが、私(わたくし)はこのお城の主では御座いますが。多額な借金の為に、名ばかりの伯爵令嬢。傀儡城主の身の上で御座いますから。私(わたくし)がこの城、領内から逃走を計る、計り、この城、領内から逃げないようにと監視の目も多々あるので、『う~ん、う~ん』と悩んだ声や嘆息を漏らすだけ。




 まあ、奴ら、商人や両買商、子爵達への不満や愚痴、『あのひと』、『あのもの達』と、不満を漏らすぐらいは、私(わたくし)の容姿を大変に御気に入り、好いている。あのひと達は、


『儂の可愛いマーメイド。シルフィーヌが、また可愛い不満や愚痴を漏らしているのか~。まあ、致し方がない奴目~。本当にめんこい奴よのぉ~』とぐらいで、笑い、寛大な処置で澄みますが。


 私(わたくし)とダインドー家の一族の者達の自由……。




 特に女性に限りですが、と、いつても。今我が人魚、マーメイドの血を引く者は、女性のみで男性はいない状態ですから。我が一族──。人魚の血を引く者達の自由手に入れる為の策と行動が露見をしてしまえば大変なことになります。


 だから私(わたくし)は余計な言葉は漏らさずに、「う~ん、う~ん」と、唸り声だけ漏らしているのです。いるのですが……。




「あっ? そう言えば?」と、思わず声が……。




 あっ、や、やばい。やばいです。本当に……



『シィ~』と、しないといけません。本当に……。




 監視下にある私(わたくし)の声が外に漏れると大変ですからね。


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