第74話 姫さまの不満?(6)

 でも、やつら……。




 そう、我が家が借金をしている商人、両替商達と。その者達の後ろに控える。我がダインドー伯爵家よりも財力、武力ともに優れている子爵達から逃げ、通すことができるのだろうか? 私(わたくし)自身も思案をすれば、この世界から逃げ通す自身がないのと。これ以上己の身……。今の煌びやかな生活を捨てて、格式を下げ、貧困に苦しみ、あえぐ生活をするのも嫌……。嫌なのです。


 どのみち? 我が一族の者達を連れ逃走を計り逃げても。女の身である私(わたくし)ができる仕事のなど、素知らぬ男達……。




 それも? 身分の低い卑しい者達へと、この身を売り、尽くし、奉公をおこなうことぐらい。


 そう、今迄、花よ、蝶よと、幼い頃から、きらびやか姫と育てられた私(わたくし)には、稼ぐ手立てがない。


 それならば? 今のこの苦痛な生活とも余り変わりはしない、どころか?



 私(わたくし)自身が、今の己の置かれている立場と境遇を我慢。耐え忍んでさえいれば、伯爵家の姫として君臨。この領地内の象徴──。煌びやかな姫として生活を永遠に続けることが可能ですから。


 私(わたくし)自身も、今己の置かれている立場に不満を募らせるのは辞めて、耐え忍び続けていくしかない。



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