第72話 姫さまの不満?(4)
だから私(わたくし)は先程から口惜しくて仕方がない。仕方がないのだ。いくら私(わたくし)自身が、致し方がないことだと思い諦めていても。今の私(わたくし)の置かれている立場と、過去の日常生活を思い出せば辛いし。苦しい。
もうそれこそ? この身を滅ぼし、無にしたい感情が多々浮かびあがる。
でも? そんなことを、このダインドー伯爵家の当主である私(わたくし)が安易におこなえば。残った一族の者、家臣達、従者達迄迷惑をかけてしまうので、わたくし)自身が耐え忍ぶしかない。
実際、商人達が己の後ろに控える、国内でも力のある子爵達を己の持つ財力を使用して諂い。盾にしながら強引に……だけではなく。荒々しく我が家へと借金を迫り、取り立ててきたものですから。
私(わたくし)の両親、父や母……。義理の母達に至る迄、皆、心の病で、お腹を患い。皆早死にしたのです。
だから私(わたくし)がこの若さで、ダインドー伯爵家の当主。主になった。
そう、なったのですよ。若くして他界をした父の代わりにね、だけならばいいのですが……。
借金、利息が、期日迄に支払うことができなければ、私(わたくし)の母や義理の母達がおこなってきたこと……。家臣や他人に、私(わたくし)自身が口を滑らせ、漏らし。呟くことなどできないことを、他界した母達の代わりに。女である私(わたくし)がしないといけないことが本当に辛く。苦しい……。
そう、わたくし)自ら、己の命を絶ち、この世界から消えてなくなりたい衝動に駆られるぐらいにね。
でもね? そんなことをすれば? 先程も私(わたくし)が呟いたように、一族や家臣達、従者に至る迄、迷惑をかけるようになるので。私(わたくし)は永遠に耐え続ける所存で御座います。
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