第68話 幼少期の大変に不思議で恐ろしい経験……(19)
でッ、僕は走り抜けながら、あることを想う。
そう、思いながら逃走──走り抜けていくのだよ。
う~ん、何故? 僕が先程、物の怪の女性へと乱射打ちした。おもちゃの銀玉鉄砲のプラスチックの玉が、物の怪の女性の身体に当たり。彼女は悲鳴──絶叫をあげたのか、僕は不思議で仕方がなかったのだ。
だって? 僕の持つ知識──。インターネットやテレビ、映画、本などで見て読み、聞いた知識では、幽霊、お化けは、肉体を持たない亡者、幽子の存在だから。銀玉鉄砲のプラスチックの玉の物理的な攻撃に対して、先程のような反応……。
そう、物の怪の女性に対しての物理的な感触や衝撃──。
それに対して彼女は痛みを感じ無い筈なのに。
僕の予想に反して彼女は、絶叫──。痛みを訴え、耐え忍べなくなり。彼女も怯み、後退──。後ずさりを始めてくれたから。
僕達二人はこのように逃げ──。そして、逃げきることができたから、僕は今のようにちゃんと成人。大人になることができたのに。また洞窟内へと向かうのだ。
今度はちゃんと、僕自身も死地を求めて向かっている。
まあ、こんな状態の僕になるのならば、あの
そう、あの幼少期の夏の日の、恐ろしい恐怖体験をした日に、神隠しに遭い。この世の者でなくなっても余り変わりがなかったと、僕は思いながら。洞窟内にある社へと重たい足を引きずりながら向かっている。
今度こそ、神隠しに遭い。この世から己の姿を完全に消去するためにね。
◇◇◇◇◇
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