第67話 幼少期の大変に不思議で恐ろしい経験……(18)

「コウちゃん~。いくよ~」とね。


 するとさ、直ぐに?



「うん、新ちゃん。分ったよ」と。


 コウちゃんからも声が返ってくるのだ。


 それも? 先程とは違い。コウちゃんの声は、何かに怯え、恐れおののき、震えた声色ではなくて、気勢が上がった声色──。


 そう、覇気のある声音で、彼の手を強く握り引く僕へと返してきたのだよ。


 と、なれば?



 僕自身も『ホッ』と、安堵……。




 自分自身の胸を撫で下ろしながら、覇気、活気、気力のある声音で二人仲良く。


「「うぉおおお~!」」


「「うわぁあああ~!」」と。


 声を大にして叫びながら駆け足、急ぎ足で、僕達二人の前を先行──。この漆黒の闇に覆われた洞窟内から、陽が当たり眩しい。と、言うか?



 眩しくて仕方がない明るい外へと向かう。少年探検隊達の仲間へと合流するべく駆け足──全速力で向かったのだ。


 僕達の後ろで……。




 そう、僕のおもちゃの銀玉鉄砲のプラスチックの玉の乱射を食らい怯み──。恐れおののき後ずさりを始めた女性の物の怪を。その場に置き去りにできるほどの速さで、洞窟内を外に向けて走り抜けたのだ。



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